長井優之 液状化による砂のセメンテーションの変化に関する研究 豊田浩史 2011年に発生した東北地方太平洋沖地震では,強い地震動の継続時間が長かったことや余震の影響により,液状化や再液状化が発生した.この被害報告によれば,過去の液状化発生時点と同一地点でも液状化(再液状化)現象が確認された.場所によっては過去に液状化した地震よりも小さい地震で再液状化が発生することも報告された.しかし,一度液状化した地盤は排水を伴って密になるため,液状化しにくくなるといわれており,再液状化のメカニズムは明らかにされていないのが現状である. 本研究は液状化強度に影響を与える要因である年代効果に着目し,年代効果再現試料における液状化時と再液状化時の液状化特性について比較検討し,再液状化のメカニズムを解明することを目的とする.本研究では,既往の研究により確立された年代効果をセメントを添加することにより再現する手法を用いて,液状化による砂のセメンテーションの変化について検討した.そこで,砂およびセメント混合砂(セメント含有率0.3,0.5,1.0%)の供試体に対し,飽和非排水繰返し三軸試験(液状化試験)やベンダーエレメント試験(BE試験),局所ひずみ測定試験(LSS試験)を実施し,年代効果再現試料の液状化特性や波動伝播特性,微小変形特性を明らかにした.先行研究では液状化を両振幅ひずみ5%に達した状態と判断したが(液状化の程度が大きいと称す),本研究の液状化試験ではp’=0kPaに達した状態(液状化の程度が小さいと称す)を液状化状態と判断し,結果の比較検討を行った. 年代効果再現試料において,液状化による砂のセメンテーションの変化について以下の結果が得られた. 1. 液状化の程度が大きい場合,液状化強度よりも再液状化強度のほうが小さくなった. 2. 液状化の程度が小さい場合,砂質土の供試体では,液状化強度よりも再液状化強度のほうが小さくなったが,セメント混合砂の供試体では液状化強度よりも再液状化強度のほうが大きくなった. 3. 液状化履歴を与えることで,セメント含有率が高いほどせん断剛性率は低下する傾向がみられた. 以上のことから,再液状化を検討するためには,液状化の程度も重要であることがわかった.