DANG HOANG SON 偏心鉛直荷重による剛基礎の接地圧と極限支持力に関する研究 大塚 悟 地盤の極限支持力は地盤工学の中心課題として精力的に多くの研究が行われてきた.基礎は上部構造物からの重力による鉛直荷重のみならず,風力,波力,地震力などの水平荷重を受けることも多く,モーメントが作用する複雑な荷重条件を有する. Terzaghi (1943)は極限平衡法に基づいて鉛直中心荷重に対する極限支持力計算方法を提案し,その支持力式は現在に至るまでに設計へ適用されているが,水平荷重やモーメントに関する基礎の極限支持力は十分に精査されていない. このような複合荷重に対しては,Meyerhof (1953)が模型実験に基づいて底面幅を減少する有効幅のモデルを提案し,同モデルは現設計法において幅広く採用されている.Phamらは剛塑性有限要素法を用いて,鉛直・水平荷重やモーメントからなる複合荷重に対する基礎の極限支持力を提案しているが,地盤を砂質土または粘性土に限定しており,実務で対象とする中間土(粘性土と砂質土の中間的な性質を有する)に対する支持力については未整理の課題として残されている. 本研究では,中間土地盤に対して偏心鉛直荷重を受ける剛基礎の極限支持力解析を実施し,簡単な支持力式を提案した. 支持力解析では基礎と地盤間にインターフェイース要素を配置して,接触条件に対して基礎と地盤間で二つの摩擦状態(完全に粗または滑)を考慮した解析結果を示した.その結果,基礎底面の粗度によらずに偏心鉛直荷重の正規化支持力空間(正規化鉛直荷重・偏心量関係および正規化鉛直荷重・正規化モーメント関係)は多少の差異はあるものの同様の関係式で表せることを示した.得られた関係式は粘着力によって変化するものの,基礎幅やせん断抵抗角の影響は比較的小さい結果が得られた. 基礎の設計では基礎と地盤間の接地圧分布の評価が重要であることから,解析で得られる接地圧分布についても精査した.現行設計法の怪異的な評価手法との比較を実施したところ,接地圧分布の形状は設計モデルと相違点も大きいが,設計で用いる接地圧分布に等価な集中荷重の評価は数値解析結果とほぼ同様になる結果が得られた.設計手法の簡易性を考慮すると,モデルに多少の齟齬はあるものの結果としては合理的な評価が実施できることを確認した.