吉川晃平 再生用添加剤の違いが規格外再生骨材を使用した再生アスコンのひび割れ抵抗性に及ぼす影響 高橋修 1980年代から再生アスファルト混合物の運用が本格的に開始され,全体のアスファルト混合物に占める再生材の比率は年々増加し,近年では75%以上の高水準となっている.その一方で,繰返し再利用による再生骨材の品質低下が問題視され,現状では品質基準を満たさない再生骨材(規格外再生骨材)の増加が懸念されている.このような状況において,現在の再生比率を維持するためには,規格外再生骨材を使用した有効な再生方法を検討していく必要がある. 我が国では,アスファルト廃材の再生には,二通りの再生方法があり,一つは再生骨材に付着する旧アスファルト(旧アス)の針入度を再生用添加剤で回復させる方法である.もう一つは通常よりも軟らかい高針入度アスファルトで添加する方法である.本研究で今回は,前者の方法で,規格外再生骨材を利用する再生方法について検討した. 本研究では,再生用添加剤の組成成分に着目し,組成成分の違いがひび割れ抵抗性に及ぼす影響について評価した.使用した再生用添加剤は,全国的に普及している飽和分の多いもの(添加剤A)および劣化によりアスファルトは芳香族分が減少することから,芳香族分の多いもの(添加剤B)を選定した.ひび割れ抵抗性の評価は,アスコン供試体の直接引張試験とバインダサンプルの伸度試験によって行った.直接引張試験の結果より,一般的な劣化レベルの規格外再生骨材の場合,30%程度の混入であれば,添加剤Bを使用した再生アスコンはアスコンのひび割れ抵抗性に多少の効果があり,新規アスコンや規格内再生骨材を使用した再生アスコンの結果と比較してもひび割れ抵抗性の差異が小さいことが分かったが,添加剤によって大きな差異は生じなかった. 規格外再生骨材の混入率が40%の場合,および劣化レベルの高い規格外再生骨材を配合する場合,組成の違いに関わらず,再生用添加剤のみの再生では十分なひび割れ抵抗性を期待できないことが分かった. また,バインダレベルの試験において,添加剤Aを使用した混合バインダは旧アスの配合量が増加すると,粘結力が大きく低下した.これに対して,添加剤Bを使用した混合バインダは粘結力の低下が見られず,添加剤Bは添加剤Aよりも性状回復効果が高いことがわかった 以上の結果から,規格外再生骨材に対して,再生用添加剤のみで再生する方法では,規格外再生骨材を30%程度混入する場合では,添加剤Bを使用することが有効となり,バインダの粘結力を回復することができるものと考えられる.