山田智也 繰返し再生を考慮した旧アスファルトの再生方法とその評価方に関する研究 高橋修 近年,我が国では循環型社会の実現に向けてアスファルト廃材の再利用が行われている.その一方で,繰返し再生したアスファルトや改質アスファルトの増加により,再生骨材に付着している旧アスファルトの針入度が低下傾向にあり,再利用できない状況が発生している.現行の再生方法は,再生用添加剤を使用して,劣化により低下した針入度を新規と同程度に回復している.しかし,再生用添加剤が過度に添加された場合や繰返し再生された場合に針入度を回復しても,再生アスファルトの性状が著しく損なわれることが確認されている.このことから,再生アスファルトは針入度以外の性状が低下してしまっていることが推測できる.そこで本研究では,我が国で一般的に使用されているストレートアスファルト60/80(ストアス60/80)の劣化や再生による性状の変化をForce ductility test(FDT)により把握し,繰返し再生できる方法について検討を行った.  ストアス60/80は,FDTから得られる指標の1つであるFD値が劣化によって小さくなる.このFD値はアスファルトバインダの粘結力を示しており,アスファルト混合物の疲労破壊抵抗性との相関があることが確認されている.本研究により,劣化アスファルトに再生用添加剤を加えた再生アスファルトも新規と比べてFD値が小さく,また劣化が進行しているものほどFD値が小さいことが確認された.このことから,再生アスファルトは劣化や再生により粘結力が低下してしまったことがわかった.また,劣化と再生を繰り返すことにより,FD値がさらに低下,アスファルトの把握力も低下することがわかった.つまり,繰返し再利用を想定して再生を行うには,このFD値を回復させることが必要である.  そこで,劣化アスファルトに再生用添加剤以外にも新規アスファルトも含めて,FD値を大きくすることができるかどうか検討した.現行の再生方法と同じに,ストアス60/80を添加することでFD値が新規に近づくが,同じレベルまでは回復できなかった.一方で,ストアス60/80よりも,強力な粘結力を有するポリマー改質Ⅱ型アスファルトや,これに再生用添加剤を加えて針入度70に調整した改良アスファルトを加えることで,FD値を新規と同等,もしくはそれ以上の性状に回復させることができた.これらの結果から,FDTから得られるFD値と新規アスファルトの関係式を求めることで,再生骨材の適切な配合割合を決定し,新規と同程度の性状を有する再生アスコンを製造することが可能となる.