三津間一輝 AFX型ゼオライトの結晶性細孔構造の評価 姫野修司、小松俊哉  現在世界各国において,化石燃料の消費によって大気中の温室効果ガスが増加し,地球 全体の平均気温が上昇する地球温暖化が問題となっている.2005年12月にCOP21でパリ 協定が採択され,世界平均気温を厳しい水準で管理することを言及した.  また,日本ではパリ協定の前身となる京都議定書が採択されており,中期の目標として 2030年度において温室効果ガスを2015年度比から25.4減の水準を目標とすることを掲げ た.その後パリ協定を踏まえ長期目標として2080年までに80%の温室効果ガスを削減する ことを目標とした.さらに地球温暖化対策として再生可能エネルギーの導入,次世代自動 車の普及が挙げられている.日本国内の温室効果ガスの内訳はCO2の総排出量が約80%を 占めており,温室効果ガス削減にはCO2排出抑制が効果的であると言える.  本研究では,CO2分離吸着剤としてDDR型ゼオライトとAFX型ゼオライトの比較を行 った.DDR型ゼオライトは細孔径が0.36×0.44nmであるため分子ふるい効果によって CO2/CH4混合ガスからCO2を分離することが可能である.また,AFX型ゼオライトは細孔 径が0.34×0.36nmであり細孔径がCO2(0.33nm)に近いためCO2分離に適していると考えら れる.  CO2/CH4やCO2/N2の混合ガスからCO2分離する材料として上記のゼオライトは利用可能 とされているが特にAFXは比較的報告が新しいため細孔構造など物性が明らかになってい ない部分が多い.そのため本研究ではAFX型ゼオライトの物性を既存のDDR型ゼオライ トと比較しAFXゼオライトの細孔構造評価を行うことを目的とした.  第1章では,研究背景や関連する技術や吸着現象および研究目的について示した.第2 章では,本研究の根幹であるゼオライトの骨格構造や吸着現象,ゼオライトの既往研究に ついて示した.第3章では,本研究で用いた実験装置や測定機器の概要および合成手順・ 実験方法について示した.第4章ではDDR型ゼオライトとAFX型ゼオライトの実験結果 および考察を示した.第5章では本研究によって明らかとなった実験結果をまとめ,そこ から得られた知見について示した.