長内泰志 新潟県を対象とした地震動の距離減衰式の評価 池田隆明 地震被害想定において地震外力を決める方法の1つとして,距離減衰式が用いられている.また,簡便で過去の地震データに基づくため,ある程度の精度を有しており,日本全国に反映させている.しかし,局所的な地盤構造や地質構造に対応していないため,精度が低下する可能性がある.また,距離減衰式を構築した後の地震データが反映されていないため,最近の地震データが距離減衰式によっては,反映されていない.本研究では精度を高めるため地域を新潟県に限定し,精度の高い距離減衰式を構築する. 地震のデータは強震観測網(KiK-net)を使って収集した.条件は4つ設定し,@新潟県全域に発生していること,AM4.0〜M7.0の記録を0.1毎に5記録ほど収集,B地震の波形が乱れていないこと,C地中の記録を使用することです.本研究では,司・翠川が構築した断層面最短距離の式をベースにして式を構築しました. 距離減衰式は「地震の規模」と「距離」がわかれば最大地震動が推定でき,かつその値は経験値によることからある程度の信頼性が担保されるため,有効な方法として現在でも利用されている.また,正確に予測するためには,地形や地下の構造モデル化し詳細に計算する必要があるが時間と労力が必要となるため,比較的簡便で短時間で計算可能な距離減衰式が用いられる.本研究では,基本となる距離減衰式を選定し,パラメータを観測記録に応じて変更することにした.地震タイプが考慮でき,日本で多く利用されている1999年に司・翠川が提案した距離減衰式を基本式とした. 最短距離を求めるには,断層面を設定する必要がある.断層面は走向と傾斜と断層の長さから決められる.今回は広帯域地震観測網(F-net)を使って走向と傾斜の情報を収集した.断層の長さは松田の式を用いて求めた.また,断層の幅は長さの半分と定義した.また,Mが小さい場合は走向と傾斜の情報が得られなかったため,4.5未満は点震源と考え,4.5以上は面震源で考えて最短距離を求めた. 今回は式の伝播経路での粘性減衰の係数であるkを変更して,式を構築した.その結果,新潟県でのkの値は,0.003前後が最適であると考えた.