堀 俊介 旧紫雲寺潟における自然堆積粘土の圧密特性について 大塚悟 日本海沿岸東北自動車道は、新潟県を基点とした青森県にいたる総延長約340kmの高速道路である。新潟県内では、約90kmであり、海岸州と河川によって形成された軟弱地盤上で盛土を構築したため、供用後、長期にわたる残留沈下の影響から交通に支障を及ぼし、継続的な維持・補修を余儀なくされている。そのため、本研究では検討対象区間の軟弱地盤における自然堆積粘土の沈下特性を調べること。また、その粘土を練り返したときの沈下特性を明らかにすることを目的として、繰り返し圧密試験を行った。実験に用いた試料の地形は日本海側の砂丘地帯と山地の丘陵地帯、そして南側に流れる加治川と北側の胎内川に構成された旧紫雲寺潟の低地に位置する。日本海側の地質から海成粘土層が厚く堆積していることがわかっている。海成粘土は鋭敏比が高く(液性指数IL>1.0)、圧縮性が大きく、圧密沈下しやすいという特徴がある。また、中間砂層(As2)および基盤の砂礫層(Dg)は被圧されているため、圧密が長期化しやすい。 繰り返し圧密試験の試験方法として、試験に用いた試料は検討対象区間内の日本海沿岸東北自動車道の傍、新発田市加治川浄化センターよりボーリング調査により採取した自然堆積粘土を適応した。JIS A1217「土の段階載荷による圧密試験方法」に則り、「土の段階載荷による圧密試験」を実施した。本試験では、直径6p、高さ2pの圧密リングに供試体をセットし、供試体上面より1.0kgf/p2のバックプレッシャーを負荷し、ひずみ速度0.01%/minで圧縮(圧密)を行った。また,練り返し粘土に関しては得られた自然堆積粘土を425μふるいでもって裏ごしを行い、ふるいを通過した試料を再構成土として気泡が入らぬように圧密リングにつめた。繰り返し圧密試験により実施した試験項目を@、Aに示す。@基本的に降伏応力から30kPaの除荷を行う繰り返し圧密を行うA繰り返し終了後に先行圧密応力の2倍の荷重まで圧密し、その後に60kPaの除荷を行う繰り返し試験を実施した。実験に用いた試料は繰り返し圧密の影響を測るために、自然堆積粘土のケース分けを行った。今回の試料は間隙比の違いがかなりあった。また、試料の深度は上からT-1〜T-11まで分かれている。深度が浅く間隙比の違いで上から順に間隙比がT-1(小),T-2(中),T-3(大)とし、深度が深いT-7(大),T-9(中),T-11(小)とした。このよううに3ケース、深度の違いで2ケースと合わせて6ケースに区別し、自然堆積粘土と再構成土で計12ケースの繰り返し圧密試験を実施した。 試験結果は、自然堆積粘土と再構成土で計12ケースの繰り返し圧密試験を実施したT-1〜T-11における繰り返し圧密試験結果だがどの試料においても沈下量は違うものの沈下が見られた。また、再構成土に関してだが2度目の繰り返しでは沈下が見られるケースもあった。どの試料においても粒度構成においては砂分、粘土分約、シルト分に分かれており、そこでの比較もおこなった。土質定数の値が大きく変わっているのが見てとれる。次に自然堆積粘土と再構成土との繰り返し圧密での沈下量の比較を行う。1)過圧密領域では繰り返し圧密によるひずみ(沈下)の促進は見られなかった。この傾向は自然堆積粘土及び再構成土で同様である。2)自然堆積粘土及び再構成土ともに正規圧密領域で繰り返し圧密に拠る顕著なひずみ(沈下)が観測された。ひずみは繰り返し回数とともに減少する傾向が確認された。3)繰り返し圧密では繰り返し圧密を行う応力増分を変化されたために、単純な比較はできないが、ここでは応力増分と応力の日を一定にした実験を実施した。その結果は繰り返し応力増分の大きい場合により大きなひずみ(沈下)が生じる結果となった。今後の展望として、試験結果から得られた圧密特性を自然堆積粘土と再構成土の深度の違いによる比較ができていないため比較を検討する。また、実験方法に関しても試料の練り返しは水に1度溶かすなど改善も視野に入れて考える。