HUYNH ANH DUNG 傾斜荷重に対する基礎の支持力式に関する研究 大塚 悟   地盤上に構造物基礎を設計する際には地盤の極限支持力を適切に評価する必要がある.地盤の極限支持力は TerzaghiやMeyerhofによって研究され,簡易な支持力式に取りまとめられているが,基礎幅による支持力の差異は考慮されていない.日本建築学会は建物基礎の寸法が土木構造物に対して大きいことから,基礎の寸法効果を考慮した支持力式が必要であり,(AIJ, 2001), 広範囲に設計へ適用する実績がある.しかし,支持力式は半実験式とも云えるものであり,その精度は明確ではない.Nguyen el al.(2016)は豊浦砂のせん断特性の拘束圧依存性(Tatsuoka el al., 1987)を支持力解析に取り入れると,日本建築学会の支持力式と同様の極限支持力が得られることを明らかにしたが,地盤のせん断強度がせん断抵抗角のほかに粘着力があると,その効果は非線形的に顕在化するために,粘着力のある場合に支持力式の適用性は不明である.本研究はNguyen el al.の提案する高次降伏関数に基づく剛塑性構成式を用いて,基礎幅による極限支持力への影響を評価して,日本建築学会の支持力式の適用性について検討するほか,基礎の寸法効果を考慮した新支持力式を提案することを目的とする. また, 地盤上における基礎は上部構造物からの重力による鉛直荷重のみならず, しばしば, 風力, 波力, 地震力, 裏込め土圧などの水平荷重から生ずるモーメントが原因で偏心および傾斜荷重を受ける可能性が高いと考えられる. 支持力式は鉛直荷重を対象に検討しますが,日本では地震力を考慮した水平荷重についても検討すること必要である.本研究では中間土地盤で水平荷重を考慮した傾斜荷重に対しても非線形強度を用いた解析を実施したが、良好な結果を得ることはできない.そのために非線形強度を用いた傾斜荷重の解析は解析スキームのアップデートを今後の課題として,本研究では傾斜荷重に対しては線形強度を用いた解析を実施た.線形強度特性を用いると,一般に寸法効果は生じないと考えられているが,剛塑性有限要素法によると寸法効果が生じる.本研究ではRPFEMによる傾斜荷重に対して,線形強度を用いた際の寸法効果を数値解析により検討する.Pham el al. (2019)の研究による,砂質地盤を解析対象として傾斜荷重に対して線形性を用いると基礎の極限支持力を検討した.本研究では粘着力成分を有する中間度地盤に解析を拡張して,傾斜荷重に対する地盤の粘着力とせん断抵抗角による極限支持力への影響を評価して,支持力式の提案を行うことを目的とする.