倉石 航 空港舗装用砕石マスチックアスファルトの配合設計に関する基礎的研究 高橋 修  わが国の空港アスファルト舗装においては,横断方向に勾配を設けるとともに表面にグルービングを施工することが原則となっている.しかし,グルービングには目つぶれや角欠けが発生したり,ゴム除去等のメンテナンスに時間や費用が必要になったりして,管理上の問題点が指摘されている.したがって,空港アスファルト舗装ではグルービングを必要としない表層材料が求められている.  本研究では,グルービングを必要としない空港表層用のアスファルトコンクリート(アスコン)の一つの有望な候補として,砕石マスチックアスファルト(Stone Mastic Asphalt. 以下SMA)に着目した.SMAは通常の密粒度アスファルト混合物と比較すると粗骨材量とフィラー量の比率が高く,高強度,高耐久であるという特徴を有している.現在,諸外国では空港舗装へのSMAの適用に向けた研究が進んでいるが,わが国では未だ知見が乏しい. したがって,本研究では空港舗装への適用を前提とした表層用SMAの配合設計上の基礎的知見を得ることを目的に,米国American Association of State Highway and Transportation Officials(以下AASHTO)でのSMA基準を参考にして検討を行った.AASHTOの仕様に基づいて配合設計を行い,設計したSMAの基本的物性について室内試験によって評価した.  本研究ではAASHTO型SMAで最大骨材粒径を20mmとしたSMA(20)と13mmとしたSMA(13)の2種類について配合設計を行い,基本物性を比較した.その結果,規定アスファルト量ではどちらのSMAともダレ量が多くなる傾向があり.特にSMA(20)はダレ量が多いため,表層材料として運用することは難しいことがわかった.  そしてSMA(13)について,ダレ量の多いAASHTO仕様のSMA,アスファルト量を減らしダレ量を抑えたSMAの2種を配合し,それぞれの供試体について塑性変形抵抗性,きめ深さ,すべり抵抗性,骨材飛散抵抗性,排水量を評価した.評価試験の結果より,双方ともに塑性変形抵抗性,きめ深さ,排水量について,空港舗装基準を満足する値が得られた.しかし,すべり抵抗性,骨材飛散抵抗性は基準を下回り,現行では空港舗装として運用できないことが明らかとなった. 2種のSMA(13)のうち,ダレ量の多いAASHTO仕様のSMAの方が塑性変形抵抗性を除いてやや優位な結果となった.  以上の知見より,AASHTO型SMAはわが国の空港舗装に適用することが難しく,運用可能とするためにはすべり抵抗性と骨材飛散抵抗性を向上させるための工夫が必要であることが明らかとなった.