小久保 真純 温度特性改良型樹脂を添加した改質アスファルトおよびその混合物の基本物性に関する研究 高橋 修 我が国のアスファルト舗装の設計期間は一般的に10年とされているが,近年では舗装の長寿命化によるライフサイクルコストの縮減を図るため,アスファルト舗装の設計期間を20年とする新しい構造設計基準が制定されている.アスファルト舗装の長寿命化には,耐久性の高いアスファルト混合物が使用されているため,我が国ではポリマー改質アスファルト(PM-As)が欠かせない材料となっている.PM-Asとは,ストレートアスファルト(ストアス)に性能改善を目的とした高分子材料を改質材として添加し,感温性や粘着性などの物理性状を改質したものである. しかし,ストアスにポリマーを添加するとゴム弾性が高くなり,ポリマーの添加量が増加するにつれて,軟化点と粘度が上昇する傾向にある.また,PM-Asを使用したアスファルト混合物は,ストアスを使用したものよりも敷き均しおよび締固めを高い温度で行う必要がある.さらに,アスファルト混合物の製造や運搬時に温度低下が大きいと,粘度が高くなって施工性が悪化し所定の締固め度が得られず,性能低下を引き起こす恐れがある.このように,ポリマーの添加量を増加させたPM-Asを使用することで製造管理や温度管理が困難になる. これらの難点を解決するため,改質剤としてポリマーに加えて特殊樹脂も使用した改質アスファルトが開発された.これは,ポリマーの添加量を増加させずに,改質U型に温度特性改良型の樹脂を添加した改質アスファルトである.この改質アスファルトを製品として運用していくためには,基本的性能を評価し,改質効果の高い特殊樹脂の添加量を把握する必要がある. そこで本研究では,特殊樹脂を添加した改質アスファルトについて,バインダレベル,アスファルトコンクリート(アスコン)レベル,締固めを行っていないアスファルト混合物レベルの様々な試験を実施し,アスファルトバインダとしての性能を評価した.本研究の目的は,特殊樹脂の添加によるバインダ性能の改質効果を定量的に評価することである. バインダレベルの試験より,特殊樹脂の添加はバインダ伸長時の荷重を大きくし,ポリマーの添加量が多い改質V型と同程度の変形抵抗性をもつことがわかった.また,特殊樹脂の添加量が10 %の条件で,改質効果が最も高くなることが明らかとなった.アスコンレベルの評価では,特殊樹脂の添加はアスコンの塑性変形抵抗性向上に効果があるものの,ひび割れ抵抗性を若干低下させることが確認された.特殊樹脂を添加した改質アスファルトの使用は,改質V型に比べてアスファルト混合物がほぐれやすくするため,改質V型よりも施工性が高いことがわかった.