石田 祐也 再生骨材を混入した瀝青安定処理路盤材の配合設計に関する研究 高橋 修 近年では地球環境問題への対策として,省資源化があらゆる分野で求められている.アスファルト舗装においては,舗装工事で発生するアスファルトコンクリート塊(アスコン塊)の再資源化が進められている.再資源化されるアスコン塊のことを再生骨材という. 再生骨材の利用における品質規格は,針入度と圧裂係数があり,どちらかの規格を満たせば旧アスを含めた再生骨材としての利用が可能である.また,既往の研究で再生骨材の繰返し利用は,再生骨材の性能を低下させることが知られている.具体的には,繰返し利用された再生骨材に付着した旧アスの針入度は低下し,圧裂係数は増加する傾向がある.また,これらの劣化した再生骨材を再生アスコンの材料として使用することは再生アスコン自体の性能の低下につながることも知られている.そのため,品質規格を満たさない規格外再生骨材は再生アスコンとして再利用することが出来ない.しかし,現在の高水準の再資源化率を維持するため,繰返し利用された規格外再生骨材の増加が予測される.この規格外再生骨材の利用が必要なことは明白であるが,規格外再生骨材が再生アスコンに与える影響は明らかになっていない. 本研究では,上層路盤に用いられる瀝青安定処理路盤材に,規格外再生骨材を混入させ,性能への影響を評価した.上層路盤は,表・基層の下層に区分される.上層路盤の大きな役割は,路面の交通荷重を広く分散させることによる支持力の保持であり,表・基層ほどの耐久性は要求されていない.そこで,瀝青安定処理路盤材に規格外再生骨材を混入させ,「剥離抵抗性」,「ひび割れ抵抗性」について比較・検討を行った.ここでの剥離抵抗性は修正ロットマン試験による水の浸入と凍結融解に対する抵抗性の指標である.ひび割れ抵抗性は,曲げ試験による載荷重で生じるたわみに対する抵抗性の指標である.また,混入率を0%,10%,20%,30% と変えることで,妥当な混入率の明確化を検討した. 以下に性能評価から得られた知見をまとめた.剥離抵抗性については,規格外再生骨材混入率を増加させても,特筆すべき差異はなく,新規アスコンと同等の性能を示した.混入率30%においても,剥離抵抗性の低下はみられなかった.ひび割れ抵抗性について,規格外再生骨材を混入させた再生アスコンは破壊時ひずみが小さく,本指標においては低い性能を示した.既存の研究で,表・基層を想定した試験が実施されているが,同様の結論が得られている.以上から,規格外再生骨材の混入は規格内再生骨材よりも変形追従性に劣り,再生アスコンへの混入量の増加に伴い,混合物の脆化傾向があるといえる.しかしながら,少ない混入量であれば現状の要求性能に見合う性能を得られることが分かり,規格外再生骨材の再生利用の可能性について知見を得ることができた.