筑波 徳之 スマートフォンを通じた交通情報提供による長岡花火大会来場者の渋滞回避行動喚起効果 鳩山紀一郎 長岡花火は日本三大花火大会の1つとして全国にその名を知られる花火大会であり,年々来場者は増加し,令和元年に開催された長岡まつり花火大会は週末開催ということもあり,2日間の合計観光客数は108万人を記録した.来場者の増加の影響もあり,長岡花火大会終了後21時30分頃から花火会場周辺を中心に大規模な渋滞が発生している.特に長岡インターチェンジ(以下,IC)方面に向かう国道8号線は交通渋滞が激しい路線であり,長岡造形大学から長岡IC間(4.4km)を通過するのに最大で141分かかったという記録を大幅に更新し今年は最大で208分かかっている.このような交通渋滞が本花火大会実施の毎年の問題となっている.このような深刻な渋滞問題に対して,本研究では,長岡花火に自家用車で来場する人をターゲットとし,渋滞回避につながる情報を与えることでの行動がどうのように変化するかを調べることを目的とする.2018年度および2019年度に「長岡まつり大花火大会」に向けて花火に関する交通情報を提供するアプリケーション(以下,「アプリ」と呼ぶ)を共同開発した.具体的には,2018年には「長岡花火道路交通情報」を,2019年には「長岡haNavi」を共同開発した.アプリにはGPSデータの収集機能とアンケート機能が付いており,得られたプローブデータから帰宅時の詳細な経路を抽出する.得られたプローブデータからアンケート結果を比較し,アプリ利用者が利用するインターチェンジや帰宅を開始する時刻をどのように変化させるかを分析並びに,得られたGPSデータをもとに利用駐車場と帰宅時に利用したICの場所と出発時刻及びIC通過時間を出し,経路選択行動分析が可能なデータを作成する.「長岡ICへ国道8号を通るルート」「長岡ICへ国道8号を通らない迂回ルート」「帰宅する方面が新潟であれば中之島見付ICルート,東京であれば小千谷ICルート」の三項ロジットモデル構造の経路選択モデルを構築し,どういった要因で各ICを利用するのかを分析することで情報提供の渋滞回避行動喚起効果を検証する.結果として,情報提供には一定の効果は見受けられたが,サンプル数の限界から情報提供の仕方の差異までは検証にいたらず,これは今後の課題とする.