馬上優介 車載LiDARによる道路積雪深の移動計測方法の検討 高橋一義 降雪地域において冬季の除雪は安定した社会生活を行う上で欠かせない作業となっている.しかし近年,公共予算の削減によって,除雪を担う企業の体力が低下し除雪機械の維持や新しい人材の雇用が困難になっている.また,高齢化の影響で熟練した除雪機械のオペレータが減少し,除雪機械の運用技術を継承する若手従業員も不足している.このような状況で除雪体制を維持していくためには作業全体を低コスト化し,限られた作業従事者,除雪機械を効率的に配置することが課題とされる.課題を解決するための手法の一つとして,地域の道路積雪深の分布状況を面的に計測することが挙げられる.計測したデータを共有することで事前の出動目安とすることができ,効率的な人員,機械配置が可能となる. 本研究では道路積雪深を計測するセンサとして複数のレーザ走査面を備えている車載LiDARに着目し,道路上の積雪深の取得に向けて車載LiDARを車両に搭載して移動計測実験を実施した.移動計測実験は車両の移動速度20〜30km/hによる低速度計測と,一般道路での運用を想定した40km/h程度での計測を実施した.LiDAR計測したデータはSLAM技術の一つであるLOAMを使用して三次元点群化することで,積雪深の精度評価を実施した.その結果,LiDAR計測した積雪深と雪尺で実測した積雪深のMADが2.5cm,SfMで生成した生成した三次元点群と断面形状における相関係数が0.98以上であることが確認された.一般道路での運用を想定した速度においても計測精度に大きな影響が確認されることがなかったことから,除雪パトロール車両に車載LiDARを取り付けて路面状況を計測するような運用が期待される.また,計測した三次元点群から効率的な手法で積雪深分布を生成する手段を検討し実施した.積雪深分布の生成はセンサ位置情報及び点群の反射強度を利用して道路面高さと雪面高さを求め生成する手法と,無積雪時の計測データと比較を行い生成する手法で実施した.その結果,無積雪時の計測データと比較する手法で得られた結果から,高い再現性が確認された.積雪深の生成は道路面位置が正しく判別されるが重要であることが確認され,今後LiDAR計測と同時にGNSS等による測位を実施し,三次元点群に位置情報を付与することで路面位置の判別が容易になれば,より高い精度で積雪深を生成できることが示唆された.