酒井琢 建設関連業者と災害ボランティアに着目した災害支援活動の質的向上に関する研究 松田曜子  昨今我が国では災害が頻繁に発生しており,その規模も大きくなっている.それに伴って人力のみでは対応できない重機を用いる支援や専門的な知識が必要な事例の場合,建設関連業者等が災害支援活動を行うこともある.また,建設関連業者の果たす役割が大きくなっていくにつれ,災害時におけるボランティア活動の規模は拡大している.  本研究では,災害支援活動を行う際の新潟県内の建設関連業者と全国の災害ボランティア活動用資機材に着目し,災害支援活動の質的向上のための政策的提言を目的とする.第2章では現在まで行われてきた災害支援活動の現状について建設関連業者と災害ボランティアに着目し,活動の事例について述べている.第3章では,新潟県内の建設関連業者に対してアンケート調査によって災害支援活動を行う際,重機とオペレーターを伴う支援活動と人員のみの2種類の支援活動において「派遣期間」,「派遣場所」,「人数,重機の数」,「活動費用」の条件の中で重要視している条件が派遣場所であることが明らかになった.また,災害支援活動の延べ日数は1ヶ月以上行った企業が,最も多くの割合を占め,曜日を問わず行っていることが明らかになった.また,活動費用の負担方法は災害救助法での請求と自社の負担が多くを割合であることが明らかになった.第4章では,新潟県内の建設関連業者の重機の所持数を地域ごとに明らかにした.個人への支援活動で用いられるであろう4種類の重機を対象としマッピングと可住地面積10km2当たりの台数により新潟市を除く下越地方の重機が,他地域に比べ少数であることが明らかになった.特に村上市等の県北は重機が少数であることが明らかになった.次に空白地域への重機の提供について,重機をより広範囲に提供できる地域が,中越地域と下越地域であることが明らかになった.第5章では,各地方の災害ボランティア活動用資機材の分布を市町村社協,都道府県・指定都市社協に分けて明らかにした.その結果,市町村社協に比べ都道府県・指定都市社協は,資機材の保有量が少ないことが明らかになった.東北地方,九州地方において資機材の量が多いことが明らかになった.東海地方は他地域に比べ資機材の所有数が少ないことが明らかになった. 以上の結果から,建設関連業者が行う災害支援活動について災害が発生したとき各地域で重機とオペレーター,人員の派遣が可能な業者を割り当てることを提言する.災害ボランティア活動用資機材について各県の建設関連業者で災害ボランティア活動用資機材の保管,管理を行うことを提言する.