Menchaca Sosa Arturo Alejandro RCおよびPC橋の長期たわみにおける寸法効果 下村 匠 実構造物を設計する際、部材寸法か゛大きくなると破壊強度を低下させる寸法効果か゛確認されている。一方、長期たわみを受ける寸法効果については、これまで研究がなされていない。そこで本研究では、環境作用により促進される乾燥収縮およびクリープを考慮し、コンクリート構造物の長期たわみにおける寸法効果の非線形特性を、屋外暴露試験と数値解析を用いて検討した。 まずは、部材の体積と乾湿を受ける表面積との比率の変化が長期たわみに及ぼす影響を評価するために、エポキシ樹脂でシーリングしたRCおよびPC部材を対象として、日射や降雨の環境作用を受ける屋外持続載荷試験を実施した。その結果、試験体の乾湿を受ける表面積の増大に伴い、長期たわみは大きくなることが確認された。また、水分移動、熱伝導および応力伝達を考慮した数値解析を行い、解析結果と実験結果の比較より、長期たわみを再現できることが示された。 また、長期たわみを受ける寸法効果の非線形挙動について、RCおよびPC部材の断面寸法を大きく変化させた長期な数値解析を実施することにより検討を行った。その結果、部材寸法が大きくなることによって、乾燥収縮と長期たわみの経時変化およびそれぞれの変動量の減少が確認され、長期たわみと寸法効果との関係性が明らかになった。また、寸法の大きい部材において長期たわみの経時変化に及ぼす環境作用の影響が小さいことを示した。 すなわち、部材寸法が大きくなると乾燥収縮が減少する傾向は、長期たわみを受ける乾燥収縮の影響が減少することを意味するため、寸法の大きい部材における長期たわみの挙動は、乾燥収縮の影響が小さく、クリープの影響のみが支配的であることが明らかになった。また、部材寸法が大きくなると長期たわみの変動量が減少する傾向は、たわみによる構造性能の低下を緩和するものであり、寸法効果が破壊強度に与える影響と逆の傾向を示した。