Sanchez Ramirez Cesar Alexander 鋼トラス橋の腐食減厚の生じたか現在格点部の応力評価に関する研究 岩崎英治 日本の橋梁は高度経済成長期に集中して作られ,現在では供用年数が50年を超えるものが増加しており,橋梁の老朽化が問題視されている.国土交通省道路局の橋梁定期点検要領により5年に1度の頻度で定期点検が行われる.点検結果により損傷の有無や安全性の確認から補修,補強を行うことが基本であるが,橋梁の老朽化の影響で損傷した橋梁が急増し補修,補強が追いていない状態にある.計画的な維持管理を行うためには損傷した橋梁に対する補修,補強の優先順位を定めて行うことと定期的な点検による損傷の早期発見が重要である.優先度を定めるためには,損傷に対する部材状態の把握による橋梁全体の安全性の確認が重要といえる. 鋼トラス橋の格点部材は複数部材の接続の役割があるため,格点部材の損傷による構造物全体への影響は大きい.格点部材は部材形状等の特徴により滞水やごみの堆積が生じやすく,局所的な腐食の発生に繋がる.格点部材であるガセットプレートの設計基準は道路橋示方書と既往の研究で必要板厚と格点部に生じる応力と部材耐力の照査式が定められている.しかし,設計時に用いられる基準であるため,供用後の部材に生じる損傷に対する基準は存在しない.そのため腐食に対する照査としてFEM解析を用いることになるが結果が出るまで多少の時間がかかるため,早急な判断を行うことができない. 本研究では格点部のガセットプレートの腐食損傷が生じた場合の応力状態を把握する簡易評価式を提案します。今まで対称的な格点部を対象にする簡易評価式しか提案されていません。本研究では非対称な格点部の応力状態を評価できる簡易評価式を提案します。そこで非対称な格点部のガセットプレートを対象にFEM解析を行い,局所的な腐食が生じた場合の部材影響を検証した.検証結果より腐食損傷が生じた場合の応力状態を把握する簡易評価式を提案した.本研究により,以下のことが明らかになった. ・既往の研究の応力式とFEM解析の応力の比較を行った結果,設計基準ではガセットのそれぞれの位置における応力状態を正確に表現できていない. ・提案した簡易評価式とFEM解析の応力を比較した結果, FEM解析の応力分布と類似の分布を評価式で表せることが明らかになった. ・提案した簡易評価式とFEM解析の応力を比較した結果,誤差は小さいから、評価式の精度が高いと思われます。 ・簡易評価式を用いることで局所的な腐食が生じた場合の応力状態の算出より,簡易的な安全性の評価を行うことができる