門脇 悠太 ガラスビーズの力学特性に与える時間依存性 豊田浩史 近年,循環型社会の構築に対する意識が高まっており,土木分野においてもリサイクルへの取り組みが活発となっている.例えば,環境への負荷が少ない廃タイヤ処分法として,裁断・粉砕して生成したタイヤゴムチップを固化処理土と混合すると,靭性が増大し,液状化しにくくなる特性から,欧米諸国ではここ10年で地盤材料として盛んに用いられている. 廃ガラスは無着色のものに関してはガラス製品としてリサイクルが可能であるが,着色されたガラスはリサイクルが困難であり,埋め立てが多く行われているのが現状である.また,廃ガラスはタイヤゴムチップなどと同様に骨材やアスファルト舗装など土木分野へのリサイクルが行われている.そこで,廃ガラスを地盤材料として再利用が可能となれば,廃ガラスの排出量を抑制し,経済的で安全な社会基盤を作ることに寄与できるはずである. 本研究では廃ガラスの地盤材料への再利用の可能性について,ガラスビーズの液状化強度を調べるための飽和非排水繰返し三軸試験,微小変形特性を調べるための局所微小ひずみ測定試験とベンダーエレメント試験,静的貫入特性を調べるための静的貫入試験を実施した.また,化学的特性を調べるために溶出試験,赤外分光分析を行った.    本研究により,以下のような知見が明らかとなった. 1.力学特性  ・ガラスビーズ供試体は豊浦砂と比較して,液状化強度,初期せん断弾性係数が高いが,貫入抵抗値は小さい.  ・ガラスビーズ供試体の初期せん断弾性係数と貫入抵抗値は,今回実施した長期圧密期間内において,増加傾向が確認された.   2.化学的特性  ・長期間水中に養生したガラスビーズからカルシウムイオンCa2+が検出された.  ・析出物から炭酸カルシウムCaCO3が確認された. 以上の結果より,析出物は,ガラスビーズから溶けたカルシウムイオンCa2+と水に溶けた二酸化炭素CO2より生成した炭酸イオンCO32-が結合し,炭酸カルシウムCaCO3が発生したことによると考えられる.また,析出物の発生は,長期間圧密したガラスビーズの力学特性に影響を与えたと考えられる.