川﨑　駿

新潟県内における海上風が起因する水難事故の把握

犬飼　直之

2016年8月9日に新潟県新潟市角田浜で浮き輪使っていた子供が沖へ流され，救難ヘリが角田浜灯台下で救助する事故が発生した．この事故は海上風によって発生したものである．この事件より，海上風に関連する事故は他にも沢山発生しているのではと考えた．
本研究では，夏季における新潟市周辺で，風が原因で発生した事故，その時の風向などを把握し，また国土交通省から頂いた1分毎のデータ，アメダス新潟の1時間毎のデータを分析し，事故発生防止のための知見として資する.
まず，海上風に関する事件ついて調べたところ，新潟市周辺で発生している81件の水難事故のうち，11件が該当した．県内で考えると24件ほど該当した．
国土交通省のデータを解析した結果，2016年では，「NE（北東），S（南），ENE（東北東）」方面から2017年では，「S（南），ENE（東北東），NE（北東）」が多く2016年では沖向きが28.2%，海岸と平行な風向が45.8%，2017年沖向きが26.8%，海岸と平行な風向が45.4%で海岸と平行な風向が多かった．
アメダス新潟のデータを解析した結果，2016年では，SE（南東）,SSE（南南東）,N（北）方面の風が多く，2017年では，SE（南東），SSE（南南東），S（南）方面からの風が多く，2018年では　S（南）,SSW（南南西）,SE（南北）方面からの風が多かった．
水難事故防止のために風情報を常に把握することが大切であるが国土交通省のデータは一般に公開しておらず風のデータは得られないため，国土交通省のデータをアメダス新潟のデータで代用したく考えた．この２つのデータに相関性がないか調べたところ，アメダス新潟の北東（45度）から南（180度）は国土交通省の沖向きの風向と同じ可能性があるため，利用できそうであり，注意が必要であることが確認できた．
本研究では，新潟市周辺でも水難事故は発生していることが確認でき，新潟県周辺では，沖向きの風向，陸向きの風向がとても多く発生していることが証明された．また，アメダス新潟のデータでも沖向きの風向は国土交通省の沖向きの風向を確認することができたため，注意が必要である．