覚張 涼平 規格外再生骨材を使用した再生アスファルト混合物の配合設計に関する研究 高橋 修,中村 健 我が国におけるアスファルト塊の再資源化率は高い水準を維持しており,全アスコン製造量に占める再生アスコンの比率は平成28年時点で75%を超え,年々増加傾向にある.一方,高水準で再資源化が進められるなかで,繰り返し利用される再生骨材が増加している.既往の研究によって,再生骨材の繰返し利用は再生骨材に付着する旧アスファルトの性能を低下させることが知られており,将来的に品質規格を満たさない再生骨材(規格外再生骨材)の増加が懸念されている.このような背景から,現行の高水準な再資源化率を維持するためにも,今後増加すると予想される規格外再生骨材の利用方法に関する知見が必要とされている.しかしながら,規格外再生骨材がアスファルト混合物の物性へ及ぼす影響に関する報告は少ないのが現状である. そこで本研究では,規格外再生骨材の利用方法に関する知見を得るため,規格外再生骨材を配合した種々の供試体を対象に直接引張試験を実施し,アスコンの性能指標の1つであるひび割れ抵抗性について評価・考察を行った.実験に使用した規格外再生骨材は,新潟県内のプラントから回収した再生骨材に加熱促進劣化を施すことで作製した. 直接引張試験を実施した結果から,規格外再生骨材を配合した再生アスコンのひび割れ抵抗性について,以下の知見が得られた.規格外再生骨材を配合した再生アスコンは,新規材料のみで作製したアスコンと比較すると破壊時ひずみが小さく,ひび割れに対する性能が低いことが明らかとなった.この傾向は再生骨材の配合量が多くなるほど顕著にあらわれた.また,劣化がより進行した再生骨材を使用した場合には,締固め不良になるなどの問題が生じることがわかった.一方,規格外再生骨材を使用した場合においても,配合率を低く抑えることで新規アスコンと同程度の性能が得られることが確認できた.以上より,規格外再生骨材の使用は,再生アスコンの性能を低下させる要因となる一方,再生骨材配合量の低減,新規アスファルトの投入量増加を図ることで新規アスコンと同程度のひび割れ抵抗性を有する再生アスコンの作製が可能という結論に至った.これにより,旧アスファルトの劣化程度や付着量に留意することで,規格外再生骨材を再生アスコンの材料として使用することが可能となることがわかった.