LE LONG 土要素試験を用いた交通荷重による粘性土及び砂地盤の沈下評価 豊田浩史  交通量が増加することや,車両の大型化で道路舗装への負荷が大きくなり,路面に発生するひび割れやわだち掘れが問題視されている.アスファルト舗装を安全な運用で長寿命化を図るためには,路面損傷のメカニズムを把握することが重要といえる.アスファルト舗装の路面の損傷は,路盤・路床の支持力不足により残留変形を起こすことがわかっているが,基礎データとなるものが未だ不足している現状となっている.  そこで本研究では,交通荷重応力によって変形する土要素に着目し,主応力回転を含んだ繰返し載荷によって地盤上を通過する交通荷重応力を再現した要素試験を実施し,結果から粘性土及び砂地盤における沈下評価について検討を行った.試験条件では,粘性土地盤に非排水で載荷するが,豊浦砂地盤に排水で載荷した.  結果より,載荷した荷重の大きさによって発生する軸ひずみの変化に違いがあり,大きく分けて,不安定な状態になり大きく変形したケース(破壊)と,不安定な状態にならずあまり変形しなかったケースが確認できた.破壊したケースは比較的少ないサイクル数で鉛直ひずみが増加した.破壊しなかったケースは軸ひずみの上昇傾向は初期ほど大きくサイクル数が増えるほど緩やかであった.また,軸力,セル圧,トルクを制御し応力を組み合わせることで交通荷重を再現しているが,組み合わせの違いによっても発生する軸ひずみの変化に違いがあった.軸差応力とせん断応力が組み合されることで,沈下量が増大した.  交通荷重の大きさと所定の軸ひずみに到達したサイクル数の関係から,荷重が小さくなるとサイクル数は指数関数的に増加する関係式を得ることができた.また,交通荷重の大きさと3000サイクルでの軸ひずみの関係より,荷重が大きくなると軸ひずみは指数関数的に増加する関係式を得ることができた.さらに,粘性土において,軸ひずみと過剰間隙水圧比の関係より,荷重の大きさを変えても同じ挙動を示すことがわかった.粘性土に対しては,ある荷重以上になると破壊が起こったが,砂では粘性土の倍の荷重を載荷しても破壊は起こらなかった.これより,地盤沈下を評価する上で,排水条件は重要な要因であるといえる.