地盤工学研究室 平川 亮太 セメンテーション及び微小繰り返しせん断履歴が砂の力学特性に与える影響 指導教員 豊田 浩史 年代効果をもたらすメカニズムの一つとして,応力履歴やセメンテーションにより液状化強度が増加することが知られている.そのため,試料にあらかじめ多くの繰り返しせん断履歴や微量のセメント添加により.年代効果を再現する試みがなされている.三軸試験装置で長期圧密を行った研究では,14日以上圧密した豊浦砂の液状化までの繰返し載荷回数は増加するが,せん断波速度Vsは,圧密時間による変化はほとんど確認できないという結果を得ている. 本研究では,セメンテーション効果と微小繰返しせん断履歴に着目した.長期圧密試料と年代効果を再現した試料の力学特性を比較するため,年代効果を再現した試料のせん断特性,液状化特性,波動伝播特性,微小変形特性を検討した.まず,繰返し非排水三軸試験(液状化試験)を実施し,液状化強度を調べ,その後,p'一定状態での排水三軸圧縮試験,ベンダーエレメント試験(BE試験)と局所ひずみ測定試験(LSS試験)を実施し,力学特性に与える影響を検討した. 本研究で得られた知見を以下に示す. (a)セメンテ―ションが砂に与える影響 ・液状化強度:Cc=0.5%で増加した ・せん断特性:粘着力はCc=0.1%以上で増加,内部摩擦角は変化しなかった ・BE試験,LSS試験:Cc=0.3%で初期せん断剛性は増加する 以上の結果より,Cc=0.5%以上で土粒子間が固結により構造が安定し,液状化強度を増加させると考えられる. (b)繰り返しせん断履歴が砂の力学特性に与える影響 ・液状化強度:εa=0.01%をNc=10回以上与えると増加した ・せん断特性:粘着力,内部摩擦角は変化しなかった ・BE試験:初期せん断剛性はεa=0.05%,Nc=10回以上与えると増加した ・LSS試験:弾性域が伸びた 以上の結果より,弾性域上のひずみを与えることにより,弾性域が伸びることにより,液状化強度が増加すると考えられる.