西村裕平 長期圧密された砂の力学特性に与える細粒分及び密度の影響 豊田浩史  2011年東北地方太平洋沖地震によって発生した液状化現象は,主に埋立地盤で発生し,同じ埋立地盤でも施工年代によって液状化被害に差が見られた.これは年代効果によって液状化現象が起こり難くなることを意味する.年代効果は,地盤の堆積年代を経ることで液状化強度が上がる現象だが,数百年経過した程度で砂が固着することは考えにくい.土の液状化強度に及ぼす要因として,細粒分含有率,密度,飽和度,拘束圧等挙げられているが,現状として年代効果のメカニズムは不明確である.  そこで本研究では,相対密度を変化(Dr0=40,60%)させた豊浦砂及び,カオリン含有豊浦砂供試体を長期圧密し,様々な力学試験を行なう.その試験結果から力学特性に与える細粒分及び密度の影響を解明することを目的とした. 以下に本研究で得られた知見を示す. 細粒分の影響 ・カオリン含有豊浦砂の方が早期に,液状化強度の増加,弾性ひずみ域に伸びが見られた.よって,弾性ひずみ域の伸びが液状化強度特性に影響を与えた可能性がある. ・初期せん断弾性係数は,圧密期間の違いで顕著な変化は見られなかった. 密度の影響 ・密な供試体では,早期に液状化強度の増加が見られた. ・初期せん断弾性係数は,圧密期間の違いで顕著な変化は見られなかった. ・密な供試体では,今回の養生期間において静的貫入特性に変化は見られなかった.