鈴木貴大 蛇行修正のための三次元複合線形設定法の開発 杉本光隆 シールド工法というトンネルの施工法が確立されている.これは泥土あるいは泥水で切羽の安定を図りながら、シールドを掘進させ、覆工を組み立てて地山を保持し、トンネルを構築する工法である.トンネルを計画するにあたっては、内空断面、トンネルの線形、土被り、シールド形式、覆工、工事の計画、環境保全計画等を決定しなければならない.トンネルの線形は、平面線形と縦断線形がある.トンネルの使用目的、使用条件等を考慮して計画するとともに、立地条件、支障物件および地山の条件を含めた施工上の要件も考慮しなければならない. また地下空間の有効利用に関する他企業の将来計画等を考慮して計画しなければならない.トンネルの計画線形が決定し、現場の施工が始まる.しかし、この時シールド機が計画線形どおりに掘進できるとは限らない.計画線形から外れた時に、方向制御が必要となる.山岸・鶴田・杉本・阿南(1985)らは計画線形に対するシールド機の姿勢を計測し、ジャッキモーメントを用いて位置情報の修正を行なった.また、伊藤・服部・谷口(2013)らも同様に位置情報の修正を行なっている.これより、計画路線に対するシールド機の姿勢を測定し、ジャッキモーメントを用いて、位置の修正を行なう方法が多く用いられている.しかし、これらの方法では、現在の方位角偏差や位置偏差を、ジャッキモーメント(ジャッキパターン)により、修正しようとしているにすぎず、修正線形全体を考慮していないことから、線形を修正するためのシールド制御を、ジャッキモーメント以外の方法を含めて、行なうことは不可能である。 そこで,本研究は,シールド機が計画線形から外れた場合,シールド機を計画線形に戻すための修正線形の設定方法を開発することを目的とする. 平面線形は,3次元のトンネル線形を水平面に投影した線形で,縦断線形は,3次元のトンネル線形を,平面線形を含む鉛直面に投影した線形である.修正始点と終点の方位角変化と位置変化より,修正線形を分類した. これより,3次元の修正線形となる平面線形と縦断線形の修正線形の設置方法を開発した.