富樫 駿斗 特殊樹脂を添加した改質アスファルト及びそのアスファルト混合物の物性に関する研究 高橋 修, 中村 健 近年の車両の大型化や交通量の増大化によって,耐流動性の向上,改質アスファルトの需要が高まっている.一般的な改質アスファルトは耐流動性・たわみ追従性等,アスファルト混合物の各種物性の向上を目的とし,使用されている.そこに,従来の改質アスファルトバインダに特殊樹脂を添加することによって,従来の改質アスファルトバインダよりも,さらなる耐流動性の向上を確認するため物性値を評価する必要がある. 本研究では,この特殊樹脂の使用によるバインダ性状とアスコンの物性に及ぼす影響を評価するにあたり,ERT,FDT,WT試験,静的曲げ試験を行った.この4種類の試験からバインダの弾性回復力,応力緩和特性,アスコンの疲労破壊抵抗性,耐流動性,ひび割れ抵抗性の評価を行った. 検討対象として,密粒度アスファルト混合物20mm,バインダ種はポリマー改質アスファルトU型を使用し,密粒度5mmや13mmより耐流動性に優れた組み合わせとなる.アスファルト量は4.2%,5.2%を特殊樹脂添加量は0%,10%,20%を使用し,各試験を実施した. 試験結果として,ERT,FDTからは特殊樹脂を添加したバインダはポリマー改質U型と同程度の弾性回復率とFD値を有し,応力緩和時間はわずかに短くなることが分かり,疲労破壊抵抗性はポリマー改質アスファルトU型と同程度となった.WT試験からは、特殊樹脂の添加量増加に伴い,動的安定度の向上が確認できた.静的曲げ試験からは,特殊樹脂の添加量によっては,常温域での変形追従性が低下する恐れがある. 以上から,特殊樹脂を添加することによって,アスコンの耐流動性の向上が確認できた.今後の展望としては,疲労や経年劣化に伴う各種物性の変化を確認する必要が求められる.