平澤佑太 規格外再生骨材を使用した再生アスファルト混合物の性能評価に関する研究 高橋修 中村健 舗装業界では,舗装工事によって発生する舗装発生材の再利用が進んでいる.我が国における舗装発生材の再資源化率は,平成12年以降から98%以上を誇る。また,全アスコン製造量に占める再生アスコン比率も増加の傾向にあり,平成28年時点で75%を上回る.舗装業界において,再生骨材は欠かせない舗装材料となっているといえる.しかしながら,高水準での再資源化が進むことにより,将来的に繰返し利用される再生骨材の増加が予測されている.既往の研究によって,再生骨材の繰返し利用は再生骨材に付着する旧アスの性能を低下させることが知られており,現状では所定の品質規格を満足しなければ再利用できない.そのため,将来的に規格を満たさない再生骨材(規格外再生骨材)の増加が見込まれている.現行の高水準な再資源化率を維持するためにも,規格外再生骨材の再利用の可能性に目を向けた性能評価のニーズが高まっている. 本研究では,現行の品質規格における規格内再生骨材および規格外再生骨材を使用し「剥離抵抗性」,「変形抵抗性」,「疲労抵抗性」の3指標について比較・検討を行った.規格外再生骨材として,規格内再生骨材に加熱促進劣化を施したものを使用し,それぞれの検討を行った結果,以下の知見を得られた. 剥離抵抗性については,再生アスコンの間接引張強度比による評価の結果,規格内および規格外再生骨材の間に特筆すべき差異はなく,どちらにおいても新規アスコンと同等の性能を示した.変形抵抗性については,直接引張試験の結果により規格外再生骨材を配合した再生アスコンの方が破壊時ひずみが小さく,本指標においては明らかに低い性能を示した.疲労抵抗性については,破壊回数では規格外再生骨材の方が優れているという結果になったが,再生骨材の低品質化に伴う応力の増加が要因だと考えられる.そこで,試験中の応力挙動に着目すると,規格内および規格外再生骨材において破壊前後の応力低下に明確な差が確認でき,規格外再生骨材の方がよりダメージの進展が早いことが示された.また,これらの検討における全ての配合条件において,再生骨材配合率の増加による破壊強度の増加が見られた. 以上の結果より,規格外再生骨材は規格内再生骨材よりも総じて変形追従性に劣り,再生アスコンへの配合量の増加に伴い,混合物が脆化する傾向が見られた.しかしながら,より少ない配合量であれば現状の要求性能に見合う性能を得られることが分かり,規格外再生骨材の再生利用の可能性について知見を得ることができた.