Zemedkun Bereket SAMUEL 再生骨材配合量の違いが再生アスコンの物性に及ぼす影響に関する研究 高橋 修 アスファルト舗装用の再生骨材(RAP)の運用は,供用寿命後の既設舗装からの発生材を再利用する一つの形態である.先進諸国は,RAPを使用することでその利益を享受してきた.今日あるいは近い将来において,開発途上国もまた,環境負荷および資源不足を軽減するために,このような再生技術を採用すべきである. 本研究は,RAP混入量を5%ずつ変化させた場合の再生アスファルト混合物の性能を評価することを目的とした.RAPの混入量は,0%(新規),20%,25%,および30%の4とおりに設定した.マーシャル配合設計法の評価パラメータはRAP混入率30%の混合物以外は設計基準を満足していたが,RAP混入率30%のものは骨材間隙率(VMA)がわずかに基準値を下回っていた.各所室内試験を実施して,これら再生アスファルト混合物性の塑性流動抵抗性,水分ダメージ抵抗性およびひび割れ抵抗性を評価した. アスファルト混合物の塑性流動抵抗性の評価指標である動的安定性(DS)の結果は,RAP混入量が多いほど塑性流動抵抗性が高い傾向を示した.間接引張試験では,新規混合物とRAP混入率20%混合物は同様の水分ダメージ抵抗性の傾向であった.これに対して,RAP混入率25%混合物は,他の再生アスファルト混合物と比較して,水分ダメージ抵抗性は高い性能を有していた.ひび割れ抵抗性を評価する3点静的曲げ試験(3PBBT)の結果は,新規混合物が他の再生混合物よりも高い変形追従性であることを示した.その一方で,RAP混入率25%混合物の破壊強度は,他の混合物よりも高い値であった. 本研究の結論として,5%のRAP混入率の違いは,再生アスファルト混合物の塑性流動抵抗性と水分ダメージ抵抗性に影響を及ぼすことを指摘した.再生アスファルト混合物のマーシャル設計パラメータが同じ傾向を示したとしても,その混合物性能には大きな違いが確認された.したがって,種々の破損形態に対して十分な耐久性を確保するためには,再生アスファルト混合物の配合設計においてRAP混入量を十分に検討することが強く推奨される.