氏名:小松駿

論文題目:コンクリート構造物の維持管理へのCIMの応用可能性に関する検討

指導教員:下村匠


CIMとは実構造体を3Dなどによってコンピュータ上に再現して管理する新しいシステムである。現在、CIMは設計施工については盛んに使用されているが、維持管理に関してはほとんど適用されていないのが現状である。構造物の設計および施行時のデータを詳細に管理できるCIMをコンクリート構造物の維持管理に応用させることは有効的な手段である。本研究では、コンクリート構造物の効率的な維持管理手法の提案として、コンクリート構造物の維持管理に適応したCIMの構築を行い、その応用性について検討を行った。
コンクリート構造物の維持管理にCIMを応用するためには、構造物の一括管理システムと構造物の予測のための解析プログラムとの連携システムが必要である。そのため従来のCIMシステムを簡易化したシステムをプログラムにて作成し、新たに上記システムを追加し、実際に3Dモデルの作成から解析結果の表示までを行った。システムの概略については、構造物の一括管理システムとして構造物の位置を表示するマップ、表示された構造物のマークをクリックすることでCIMの機能として、構造物モデルおよび地形モデルを表示する。解析に必要となるデータの用意を簡略化するために、構造物モデルの編集を容易にし、気象、地形データも必要となるものを自動で用意するシステムを構築した。
これらの機能を使用して実際のコンクリート構造物の塩分浸透問題に応用し、独立した解析プログラムを実行し、その結果を取得および表示までの自動化を行い、解析プログラムとの連携および予測が十分に可能であることが示された。表示された解析結果についてモデルに表示されたコンター図は、同じ解析プログラムを用いて本システムを使用せずに描画したグラフ描画したものと同様の結果を示しており、本システムにより実現象に応用できることが示された。
コンクリート構造物の維持管理に適用したCIMの構築を行い、その応用の可能性について検討を行った。その結果、従来のCIMの機能に構造物マップによる一括管理と、構図物の予測のための解析プログラムとの連携機能を追加して、システムを構築することにより、コンクリート構造物の維持管理にCIMが応用可能であることが明らかになった。
今後は、一括管理を行う際にそれぞれの構造体のデータ形式が異なっていること、CIMと解析のそれぞれで最適とされるモデルに差があることから、これらについて検討する必要があると考えられる。

前のページに戻るには"戻るボタン"で戻ってください。