小澤 弘幸

幾何学的に発生するシールドセグメントのローリング量の計算法とその応用

杉本 光隆

トンネルのセグメントの施工において,幾何学的に発生するセグメントのローリングやそのねじれを修正することはあまり考慮されてこなかった.今後は,用地の制約等からより厳しい線形を有するシールドトンネルが,都市地下空間に構築されていくと予想される.そこで,本論文では,シールドセグメントのローリング量を計算するための手法を検討するとともに,その適用例を示す.
捩率(ローリング量/長さ)は,単位長さ当りの従法線ベクトル回転角で与えられ,ローリング量は,得られた捩率をトンネルの長さで積分して求められる.
この計算法を,想定したトンネル線形トンネル線形に適用することにより,以下のことがわかった.
1)平面曲線のみや縦断曲線のみといった同一平面上の曲線では,従法線ベクトルは回転せず,ローリングは発生しない.
2)同一平面上にない複合曲線では,ローリングが発生する.
3)複合曲線では,曲率半径が小さくなるほど,勾配が大きくなるほど,捩率は増加する.
次に,トンネルの平面曲率半径と縦断勾配から捩率を求めるコンター図と,捩率とセグメント半径からリング継手部のセグメント単位幅当り周方向必要クリアランスを求めるコンター図を作成した.
曲率半径100m,購買5%以上,セグメント半径5m以上では,通常のリング継手のクリアランス3〜5mmに対して,セグメント1m当りの周方向必要クリアランスが3mm以上となることからリング継手孔の周方向クリアランスやトンネル自体の機能を維持するための検討が必要であることがわかった.

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