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山村恭子

新幹線による地盤振動を低減するための振動遮断壁のサイズに関する研究

豊田浩史

近年，鉄道の高速化により，鉄道沿線の振動問題が大きな課題となっている．振動への対策としては，加振力の周波数特性を把握し，卓越する周波数帯で，振動低減効果が発揮される対策を選定することが効果的である．既往の研究から，列車振動に対し，防振溝・壁による振動低減効果があることは，理論的な考察やFEMなどによる解析的な検討から明らかとなっている．しかし，実際の振動伝播機構の解明や，効果の高い防振壁の特定にまでは至っていない．本研究では，新幹線振動の低減を目的とした防振壁を設計する上で必要となる，防振壁に関する詳細なデータを収集するため，防振壁のサイズに着目した模型試験を実施した．
本試験では，作製した模擬地盤中に，起振源として起振器，防振壁として真鍮板を設置した．試験は，実物の1/100モデルの模型を使用し，橋脚の基礎形式は杭基礎とした．試験ケースは，防振壁のサイズに着目し，①幅430mm, 860mmの比較，②固定あり，固定なしの比較，③根入れ深さ37.5mm，150mmの比較，の3種類を実施した．なお，固定とは，2枚の防振壁を結合して1枚の防振壁として用いるとき， 2枚の防振壁の境目部分を固定することを差す．
研究を通じて得られた知見をまとめると以下のようになる．
(1)防振壁の幅を大きくすることで，防振効果が増加した．基礎模型端部から防振壁端部までの距離ΔLが短いと，防振壁側方から回り込む振動の影響が表れる．ΔL10m以下では，振動の回り込みの影響が大きい．また，ΔL25mまでは，ΔLの増加に伴い防振効果も増加する．しかし，ΔL25m以上にしても防振効果の増加はあまり見られず，ΔL25mで防振効果が最大となる．
(2)防振壁を小割として並べるより，その結合部分を固定することで，防振効果が増加する．
(3)防振壁の根入れ深さを大きくすることで，振動低減効果が増加する．地中に防振壁を挿入することで，物理的に波を遮断することができ，防振効果が得られると考えられる．根入れゼロでのおもりによる振動低減工法では効果が表れにくい30Hz以下の低周波数領域でも，防振効果を発揮する．

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