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数値解析による小口径シールドを用いたシールドルーフの実現可能性の検討

杉本 光隆

東京外郭環状道路の事業区間(関越〜東名)において本線シールドトンネルと連絡路(ランプ)シールドトンネルをつなぐ地中拡幅部は,市街化された地域の地下に計画されていることから,大規模な非開削切り拡げ工事により構築する必要がある.切り拡げ区間の上下部先受け構造物を構築する方法として,本線シールド,ランプシールドから坑内発進する複数の小口径シールドを用いる方法が考えられる.
しかし,この構築方法では,坑内発進から切り拡げ区間の上下部先受け構造物に至るまでのすりつけ区間で,トンネル線形が曲線半径10m級の三次元的な急曲線となり,こうしたトンネル線形の施工実績は今まで皆無であることから,その実現性が危惧される.さらに,施工が可能であったとしても,シールド掘進管理は複雑にならざるをえないと考えられる.
そこで本研究では,当該区間(すりつけ区間)を解析対象とし,シールド掘進管理条件を検討するとともに,得られたシールド掘進管理条件を用いて,シールド掘進シミュレーションを実施することにより,上記の小口径シールドを用いた切り拡げ区間の上下部先受け構造物の実現可能性を検討した.
シールド掘進管理条件:
ジャッキ力,コピーカッター使用条件と中折れ角度を三つ合わせて,「シールド操作条件」と呼ぶことにする.これら三つのパラメータはシールド機挙動に対して共線性があり,事前に設定しておくことが必要である.
コピーカッター使用条件と中折れ角度に関しては,シールド操作算定プログラムにより別途解析を行い,設定することとした.
ジャッキ力(ジャッキ推力とジャッキモーメント)に関しては,上記で得られた中折れ角とコピーカッター使用条件を,シールド機動力学モデルに入力して幾何学的条件から算定した.
シールド掘進シミュレーション:
上記で得られたシールド掘進管理条件を用いて,シールド掘進シミュレーションを実施した結果,以下のことがわかった.
○適切なシールド掘進管理条件を設定すれば,本解析で想定したトンネル線形を掘削可能である.
○シールド操作算定プログラムで求めた,中折れシールドの中折れ角とコピーカッター使用条件(使用範囲と長さ)は,妥当である.

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