白井翔也

砂の液状化強度に与える長期圧密の影響

豊田浩史

2011年の東北地方太平洋沖地震において,大規模な液状化や再液状化による被害が多数報告された.施工から数百年経過した古い埋立地盤では,年代効果の影響により液状化の可能性は低くなると言われているが,この程度の期間で砂質土の固結が進行しているとは考えられず,年代効果のメカニズムについては明らかとなっていないのが現状である.
本研究では,年代効果のメカニズムを明らかにするため,圧密時間を変化させた飽和砂供試体に対して飽和非排水繰返し三軸試験,ベンダーエレメント試験および静的貫入試験を実施した.これらの試験から得られた液状化強度とせん断波速度の圧密時間効果の発現,貫入抵抗値の強度変化を調査し,長期圧密させた液状化強度のメカニズムについて検討した.
また,長期圧密により得られた繰返し載荷回数Ncから,液状化強度曲線の予測を行い,通常圧密の液状化強度比RLとの比から長期圧密に関する液状化強度比を算出し,100年後までの液状化強度を予測した.
以下に,本研究で得られた知見を示す.
1.液状化強度特性
・豊浦砂の長期圧密によるNcは,14日,28日圧密において上昇することが確認された.そのため,7日以降の期間で何らかの要因が発生している可能性が考えられる.
・カオリン含有豊浦砂および非塑性細粒分含有豊浦砂の長期圧密による繰返し載荷回数Ncの変化は,両試料ともに通常圧密と7日圧密におけるNcの値が同等のものが確認された.
2.せん断波速度伝播特性
・各供試体のせん断波速度Vsは,圧密時間において明確な違いは見られなかった.
3.静的貫入特性
・各供試体の貫入抵抗値は,養生期間において明確な違いは見られなかった.
4.液状化強度の増加
・100年後までの液状化強度を予測した結果を用いて,液状化判定を実施した.レベル1地震動においては,100年後には液状化しないと判定されたが,レベル2地震動においては,液状化するものと判定された.
・本研究結果と既往の研究の液状化強度増加割合を比較すると,液状化強度が上昇開始する日数は,密な砂で早くなっている.

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