NGUYEN DUC TAM
浅い土被りでのSENS覆工挙動の解析
杉本 光隆
SENSの施工では，地盤と内型枠の間に一次覆工を加圧充填しながら，連続的に覆工体を構築する．そのため，はじめに打設される一次覆工は未固結であり，内型枠は一次覆工による浮力を連続的に受け，上方へ剛体変位をする傾向が見られる．その後，時間の経過とともに，一次覆工は硬化し，地盤からの土水圧が作用するが，この土水圧は，内型枠の三次元的な挙動とコンクリート打設により，初期作用土水圧から有効土圧が増減すると考えられる．したがって，一次覆工や内型枠を設計する上で，常に考慮しなければならない基本的荷重である作用土水圧を推定するためには，三次元的かつ逐次的に変化する内型枠の挙動に応じた，地盤，一次覆工，内型枠の相互作用を表現できる解析モデルが必要である．
現在SENSの設計では，内型枠の三次元的かつ逐次的な挙動に伴うトンネル軸方向の応力再配分を表現できない．さらに，耐荷機構モデルでは，より計測値に近い結果を得るために，部分的に有効土圧を減少させ偏荷重を与えているが，そのメカニズムは理論的に明確にされていない．また，地盤を含めてトンネルをモデル化した三次元有限要素法では，内型枠の浮力による剛体変位やトンネル掘削面と内型枠，一次覆工との相対変位による有効土圧の変化を表すことは困難である．
そこで本研究では，健全な覆工を構築するため，一次覆工の打設から硬化，内型枠の脱型というSENS特有の複雑な施工過程における，内型枠および一次覆工の挙動メカニズムを解明することを目的とし，SENSにおける荷重条件や施工過程を考慮した三次元逐次解析モデルを開発し，実トンネルの現場計測データを用いて同手法の妥当性を検証した．さらに，現地の地盤条件と施工条件をパラメータとして，パラメータスタディを実施し，各パラメータが一次覆工の変位，断面力に及ぼす影響を評価した．
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