氏名:河村貴志

論文題目:土要素試験で地盤沈下を評価するための交通荷重応力の再現

指導教員名:豊田浩史

概要:
交通量が増加することや,車両の大型化により道路舗装への負荷が大きくなることで,路面に発生するひび割れやわだち掘れが問題となっている.これらの路面の損傷は,舗装下の粒状材料の路盤や路床の支持力が不足している場合に起こる可能性がある.しかし,現状では舗装下の粒状材料を対象とした変形に関する基礎的なデータが未だ少ない.
そこで本研究は,交通荷重によって変形する土要素に着目した.交通荷重応力の再現を目的として,中空ねじりせん断試験機を使った試験方法の構築及び試験機の改良を行った.
試験は等方圧密状態と異方圧密状態での2種類のケース行われた.交通荷重は,軸方向応力,側方向応力,回転方向応力の3つが制御された状態で載荷された.試験機は2か所改良した.まず,試験機についているデータの計測器を変更した.従来の1秒に1回計測する計測器では,速い載荷速度による応力変化に対応することができないため,載荷速度を遅くしていた.そのため,応力経路を1サイクル得るのに長い時間がかかり,試験に要する時間も長くなってしまった.そこで,新しく0.1秒に1回計測できる計測器に変更し,速い応力変化にも対応することができるようになった.次に,中空ねじりせん断試験機のセルの容量は大きく,圧力供給とセル内での水圧計の読みにタイムラグが生じていたため,試験機に圧力ブースターを設置した.
実際に試験を行った結果,実験から得られた交通荷重応力の挙動は理論上計算された交通荷重応力の挙動とおおむね良好な一致を示した.
等方圧密供試体と異方圧密供試体の比較として,間隙水圧上昇は異方圧密供試体で大きかったが,600サイクル付近からは,少し減少傾向を示した.鉛直ひずみに関して,等方圧密供試体では微小に増加し,異方圧密ではより大きな鉛直ひずみが発生して,1000サイクル以降も増加を続けた.

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