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板倉茉央

模型実験による橋台裏込め部段差対策工法の評価

豊田浩史

地震によって橋台裏込め部では，地盤沈下等により段差が生じ，道路通行機能に支障をきたしてしまい，被災者の救助や支援物資の輸送が困難となる．現在使用されている段差対策工法の踏み掛け版は，段差を抑制することに優れているが，その重さにより，橋台裏込め部の圧密沈下や液状化の発生が懸念されている．
そこで本研究は，橋台裏込め部の段差を抑制しつつ，踏み掛け版の弱点を克服する新たな段差対策工法の模索を行い，開発した模型装置を使用し，段差対策工法の沈下量比較と車両通行性の検討を行うことが目的である．
新たな段差対策工法として，軽量で，柔軟性を有し，施工が容易である材料「クロスウェーブ」の使用をしていく．そこで，クロスウェーブの実物大載荷たわみ試験を行い，ヤング率Ep＝1011（KN/㎡）を算出した．実物大の1/20の相似則を考え，模型装置に用いる材料として，ヤング率Em＝61（KN/㎡）の黄色発泡ウレタンを用いる．比較検討を行うためのEm＝116（KN/㎡）の黒色発泡ウレタンも用いることにした．
試験の結果，沈下量の抑制には踏み掛け版が一番有効であった．しかし，クロスウェーブも沈下量の抑制力があるという結果を得ることができた．車両通行性は，模型試験結果を実物大の沈下量に変換し比較を行った．既往の研究・調査より中越・中越沖地震では，橋台裏込め部の段差はほとんどが50㎝程度であったという報告をもとに，クロスウェーブを想定した黄色発泡ウレタンでは沈下量が60㎝のときも通行可能範囲であった．そして，ヤング率を2倍にした黒色発泡ウレタンでは黄色発泡ウレタンよりも通行可能範囲が広がった．
以上より，模型試験では，新しい段差抑制工法として「クロスウェーブ」の使用を考えることができる結論に至った．

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