氏名
 西 司


RIMSによる土粒子と浸透流の運動の可視化実験


大塚 悟
福元 豊

 



RIMSによる土粒子と浸透流の運動の可視化実験

 土木分野において,自然災害は密接な関係にあり,近年は,液状化現象が多く発生している.液状化現象に限らず,地盤内部は直接的に観察ができないため,明確にはメカニズムを知ることができない.地盤内部を観察する方法として,MRI,X線CTなどが存在するが比較的,高価である.また,粒状体解析などシミュレーションは,仮定が含まれるため信頼性が低い.そこで,本研究では,アクリル容器内のガラスビーズを土粒子と見立て,地盤内部を再現し直接的に観察を行う.屈折率マッチング可視化技術を用いることで,2次元的に地盤内部を直接的に観察が可能になる.しかし,屈折率マッチング可視化技術は問題が多くあり,粒子が塑性変形してしまうことや材料費が高価であること,環境状況に左右されることなどがある.このような問題を考慮し研究を行った,粒状態の屈折率マッチング可視化技術を用いた薬液注入過程の再現実験(2015)がある.このように,屈折率マッチング可視化技術は更に需要を高めると考える.本研究は,浸透流速はPIV計測を利用し,土粒子の挙動は時系列運動解析において解析する第1段階の基礎実験を目的とする.
今回の実験から,ソーダガラスとシリコンオイルの組み合わせで,奥行き30mm程度までの任意の断面情報を得ることができた.また,レーザーシート上の断面での土粒子間の浸透流速のPIV解析と,土粒子の時系列運動解析が可能であることがわかった.しかし,土粒子間の浸透流速と,土粒子の時系列解析は同じ倍率で撮影を行うことができなかった.
今後は,今回の実験で使用したソーダガラスとシリコンオイル以外の実験材料の組み合わせを変更する.ガラスビーズの粒子径に考慮し,高速度カメラのスペックの高いもの,シリコンオイルの動粘性,密度など多くの組み合わせを検討する必要がある.そうすることで,ガラスビーズ1つだけを綺麗に撮影でき,正確な解析できると考える.また,密度や流動性などの物性値が土粒子に近いものを選定することで,地盤内部に限りなく近づけることができると考える.そして,人為的な力によるものでは,浸透流だけではなくガラスビーズが動いてしまうことから,浸透破壊を計測する装置の中でRIMSを行う浸透流による間隙流速や土粒子の挙動の解析を行いたいと考える.挙動の解析により得た結果を踏まえて,シミュレーションにおける粒状体解析を行えば,よりメカニズムを明確にできると考える.

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