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LE HONG NGUYEN

橋台背面盛土の耐震安定対策に関する解析的研究

大塚悟

過去に発生した地震における鉄道橋台の被害は，橋台と背面盛土との間に相対変位が生じているものが多い．この相対変位の原因は，①橋台の前方への変形に伴う背面盛土の落込みによるもの，②背面盛土自体の揺すり込み沈下，③軟弱地盤における地盤と盛土の振動による土の強度低下などによるものといわれている．
橋台と背面盛土との間の相対変位は，軌道面に著しい変位が発生することになり，列車の走行安全性の低下につながることとなる．鉄道構造物は盛土や高架橋，トンネル，軌道など様々な構造物により構成される線状の構造物であるため，ある箇所で軌道の変位が大きくなるとそれが原因となり線区全体の機能不全に直結する恐れがある．一方で首都直下地震の近年中の発生が予測されている中，鉄道事業者にとって既存構造物の耐震補強を行うことは喫緊の課題となっている．
相対変位の抑制を目的として，背面盛土の沈下抑制工法等は，一般的に全面から補強材等を施工して沈下抑制を行うが，橋台前面の道路の状況によっては施工が困難場合がある．このような場合には，背面盛土を全体的に地盤改良することとなり，多額の費用が必要となる．
東日本旅客鉄道株式会社は，背面盛土内に軌道の脇に沿って柱列状の改良体を造成することで沈下抑制を図る工法を考案し，実験的に検討を進めてきた．地震時に橋台には，地震慣性力と地震時の土圧が作用する．現行の設計指針では，地震時土圧算定のために物部岡部式が用いられているが，物部岡部式は改良体がある場合を考量しないため，限界があると考えられる．
そこで本研究では，剛塑性有限要素法（RPFEM）を用いた安定性評価を可能とした解析手法の開発を行う．物部・岡部理論を用いて簡単な土圧問題に適用し，RPFEMを用いて平面歪み条件で土圧計算を対象とした数値シミュレーションを行い，地震時の土圧計算を比較検討を行う．また，RPFEMの実際の崩壊現象への適用性を明らかにすることを目的に，東日本旅客鉄道株式会社が行った振動台試験を対象とした数値シミュレーションを行う．その結果，RPFEMを用いることで平面歪み条件で土圧計算問題を合理的かつ適切に評価できることが明らかとなったが，実際の崩壊現象への適用できるために，より改善する必要がある．

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