牧野 幸太
溶融スラグ細骨材を使用した表層用アスコンの基本物性と配合設計に関する研究
高橋 修
溶融スラグとは,一般廃棄物の焼却灰を1,200℃以上の高温で溶融し,急速に冷却,固化した物質である.そして,溶融スラグを細粒度に破砕処理したものが溶融スラグ細骨材である.溶融スラグは溶融化施設ごとに製造される品質や物性が異なるため,建設資材として利用する場合,適用の可否を検討することが必要となる.
本研究では,新潟市新田清掃センターで製造されている溶融スラグ細骨材について,アスコン用細骨材としての適用性を評価し,適用する場合の留意事項について検討した.細骨材としての基本物性を評価し,天然砂と結果を比較して適用性を確認した.また,表層用アスコンに配合した場合のひび割れ抵抗性と塑性流動抵抗性について評価した. 溶融スラグ細骨材は,表層用アスコンに使用されている天然砂と比較すると,密度が大きく,吸水率が小さい.また,粒子形状の角張り度は同程度であった.そして,表層用アスコンの細骨材の規準である「JIS A 5032」の規格に適合していた.有害物質の溶出量と含有量の試験結果より,各測定値は環境に対する基準値を満足していた.溶融スラグ細骨材の粒度は,2.36〜0.6 mmを中心としており,砂分類の細砂よりも粗砂の粒度に近い.溶融スラグ細骨材は天然砂よりも密度が大きいため,配合率を高く設定する場合は粒度選定の際に体積比で設計する必要がある.
マーシャル安定度に基づく配合設計法よると,溶融スラグ細骨材の配合率が大きくなるに従い,密粒度アスファルト混合物の空隙率は小さくなり,飽和度は大きくなった.そのため,設計アスファルト量は低下する傾向にある.設計アスファルト量でのマーシャル特性値において,溶融スラグ細骨材の配合率が大きくなると,マーシャル安定度,残留安定度,フロー値は小さくなる傾向が認められた.また,溶融スラグ細骨材の配合率が全骨材量の15%を超えると,塑性流動抵抗性とひび割れ抵抗性の両特性が低下することが確認された.
積雪地域用の表層材料である密粒度アスファルト混合物(20F)と密粒度アスファルト混合物(新20FH)において,溶融スラグ細骨材の配合率が全骨材量の10%以内であれば,塑性流動抵抗性とひび割れ抵抗性は低下しないことがわかった.この結果より,溶融スラグ細骨材の配合率は,表層用アスコンの要求性能である塑性流動抵抗性とひび割れ抵抗性を低下させないために,全骨材量の10%以内が妥当であることを確認した.
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