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小栁　佳範

配合の改善による瀝青安定処理路盤材の耐久性向上に関する研究

高橋　修

アスファルト舗装の構造的設計寿命は10年程度とされているが，実際の重交通路線では舗装の品質を確保するため，より短い頻度で補修工事が行われている．そのため，ライフサイクルコスト（LCC）の増加が問題となっている．LCCを低減させるための方策として，舗装の長寿命化が挙げられる．長寿命化技術によると，初期費用は当初計画よりも高価になるが，長期にわたって性能を一定以上のレベルで維持できることから，LCCの低減が可能となる．近年では，設計寿命を20年まで延長すべきとの動向もみられることから，アスファルト舗装を長寿命化させる技術の開発が求められている．
わが国の高速道路におけるアスファルト舗装では，高機能舗装の普及によって，構造上のダメージが上層路盤や下層路盤まで及ぶ事例が散見されている．そのため，下層路盤から表層までの全層を打ち換える大規模補修工事の増加が懸念されている．このような状況下，高速道路の開削調査が実施され，下層路盤以下の支持力が低下している場合は上層路盤の底面からひび割れが発生し，比較的早期に舗装全体の破壊へと進展することが確認された．したがって，アスファルト舗装の長寿命化を実現するには，このようなひび割れの発生やその進展を抑制するため，下層路盤以下の層を堅固に構築するとともに，上層路盤の耐久性を向上させることを検討する必要がある．
本研究では，高速道路の上層路盤に使用されている瀝青安定処理路盤材の基本的な物性を把握し，耐久性の向上について検討した．骨材粒度と最大骨材粒径に着目し，特殊な資材を使用することなく，軽微な配合上の見直しによって耐久性の向上を目指すとともに，その効果について評価した．
静的曲げ試験及び曲げ疲労試験によって，既往の瀝青安定処理路盤材と新たに配合した瀝青安定処理路盤材を比較し，ひび割れ抵抗性の向上について検討した．一般にひび割れ抵抗性の向上は塑性流動抵抗性の低下に繋がることから，ホイールトラッキング試験を実施して，各種配合の塑性流動抵抗性も同様に評価した．その結果，従来の瀝青安定処理路盤材よりも最大骨材粒径が小さい骨材粒度を採用することにより，軽微な配合の改善でもひび割れ抵抗性を向上させることが可能となった．また，アスファルト量を少なめに設定することにより，塑性流動抵抗性の大幅な低下を避けることができた．

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