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長田　洋平

豪雪地帯の危険空き家対策に関する研究

樋口秀　中出文平　松川寿也

近年、人口減少や高齢化に伴い空き家が増加し問題となっている。特に倒壊などのおそれがある危険空き家が問題視され、地域住民の安全な生活を脅かしている。そこで多くの自治体は空き家管理条例の制定や解体除去施策の運用をはじめている。しかし、解体除去に至る経緯で様々な課題があり、円滑な運用がなされていない。一方、国も対策に乗り出し、空家等対策の推進に関する特別措置法が施行された。特措法が施行され、空き家へ積極的な関与が可能になったものの、今後自治体がどのような空き家管理対策を実行していくのか、その対応が課題となる。加えて、豪雪地帯では積雪による倒壊も発生し、豪雪地帯対策特別措置法の規定により国及び自治体は除排雪やその他適正な管理に必要な措置をとることが責務となっている。
そこで本研究では、既往研究などから解体除去に関わる課題を抽出した後、全域が豪雪地帯に含まれる北陸3県64市町村を対象に、空き家管理対策の運用実態、特措法施行後の意向及び抽出した課題の発生状況を把握するとともに、危険空き家の解体除去する際に障害となる課題へ対応している事例の実態と問題を把握し、危険空き家を円滑に解体除去するための運用のあり方を検討することを目的とする。
まず、抽出した8つの課題の中で「課題②：権利関係が複雑で対応が困難」、「課題⑤：所有者等の経済的な理由から解体除去が困難」が特に危険空き家を解体除去する上で障害となっていることが明らかになった。
次にこの2つの課題に着目して抽出した詳細対象事例を調査した結果、1）明確なルールとして事業や制度を設けることで他の空き家との公平性や所有者等の安易な責任放棄の発生を軽減し、権利関係が複雑な危険空き家を解体除去するための1つの武器になること、2）所有者等の資力がない場合は、自治体の補助だけでなく固定資産税の減免や除却費用に土地の売却費用を用いた手法を併用することで所有者等の自発的な解体除去に繋がることが明らかになった。しかし、自治体が単独での実施を継続するのは財政的に困難であること、土地だけの売却だと購入希望者が見つかりにくいことが課題となる。
今後、事業や制度の長期的な運用を図るために、自治体の空き家問題に対する意向や姿勢を示す空家等対策計画を策定し、都道府県や国と連携して事業や制度を運用していくことが重要である。また、事業や制度は併用して運用することで危険空き家の所有者等の自発的な解体除去を促す効果があるといえる。さらに、土地の売却に関しては、固定資産税の減免措置を空き家の所有者等だけでなく、購入希望者にも適用させることで土地の売却を促進することができると考える。

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