本藤優一

所要時間情報に着目した長岡花火渋滞時における経路選択行動分析

佐野可寸志 西内裕晶

長岡花火終了時の交通渋滞が毎年問題とされている.特に,長岡IC方面に向かう国道8号線は渋滞が激しい経路であり,約4km進むのに最大で約3時間かかった記録が残っている.既往研究から需要の分散が渋滞緩和に繋がることがわかっている.需要分散施策のひとつとして情報提供により車両を他経路に誘導する経路誘導施策が挙げられる.しかし,誘導施策を実施するにはドライバーの経路選択行動を明らかにする必要がある.
本研究では,長岡花火渋滞時に経路誘導施策実施するため,長岡花火時のドライバーの経路選択行動を把握することを目的とする.また,誘導施策は特に渋滞の激しく,周辺道路への影響も大きいと考えられる国道8号線での実施を想定し,情報提供施策を導入した際の交通状況の変化を評価する.
まず,来場者中の走行開始時に一度決定した経路を変更しない経路固定層と状況によっては経路を変更する経路選択層の存在割合を明らかにすることで誘導施策実施可能性を検討した.来場者中に固定層が多く存在している場合,経路誘導施策の効果は期待できないためである.次に,それぞれの層を分析し,経路選択にはどのような属性が影響しているのかを把握し,分析結果と来場者の属性からどのような誘導施策が必要なのかを明らかにした.
その結果,選択層は約70%存在しており,誘導施策は実施できることがわかった.また,経路選択には過去来場時の経路選択の結果が大きく影響していること,長岡花火のリピート率は約70%と高いことがわかり,誘導施策の継続した効果を得るためには誘導する経路が選択した人にとって有効である必要があると考えられる.
そこで,そのような施策を実施できる地点と代替経路を選定するために国道8号線で実態調査を実施し,経路選択状況の把握,所要時間分析を行った.その結果,寺島交差点,堺交差点での右折経路が代替経路として有効だと考えられた.
選定した地点での施策実施時の代替経路への転換率を求めるためにドライバーの経路選好を調査し,経路選択モデルを構築した.
最後に,ミクロ交通シミュレーションを用いて施策の評価を行った.転換率は,10%〜30%間で5%刻みに設定した.国道8号線を含む主要経路の所要時間を指標とし,現況と比較を行った.8号線の所要時間は15%,20%,25%のときに短縮された.他経路の所要時間合計は転換率が20%のときのみ短縮され,最適な転換率は20%であることがわかった.

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