高野靖大

中山間地域への移住ニーズを踏まえた空き家バンクの利用実態と利用促進方策の評価に関する研究

佐野可寸志 西内裕晶

近年我が国においては少子・高齢・過疎化の影響から, 空き家の増加が深刻化しており, 社会問題になりつつある. その中でも特に過疎化が進行している中山間地域においての空き家の増加問題は, 集落を維持するためにも改善すべき問題となっている. 一方中山間地域においては田舎暮らしやライフスタイルの変化を求めた移住希望者が増加している. そういった中山間地域における空き家の増加問題及び中間山地域への移住希望者の増加の両者を対処する施策として, 空き家バンク制度が移住推進施策の1つとして注目されている. しかし既存の調査によると空き家バンクにおいては, 空き家バンクから空き家バンク利用希望者への空き家提供は低迷しており, 中山間地域への移住を促進させるための制度として機能しているとは言い難い現状にある. そこで本研究では, 中山間地域における空き家バンクを活用した移住の促進を図るために, 中山間地域における空き家バンクを利用する上での課題と, 中山間地域への移住を実行する上で必要とされる要因を明らかにし, 最終的に中山間地域における空き家バンクの利用を促進させるために必要とされる方策の提案及び評価を行うことを目的とした. まず中山間地域における空き家バンクを利用するうえでの課題を明らかにするために, 空き家バンク利用者を対象とし, 中山間地域への移住に対する意識についてのアンケート調査を実施した. 結果として中山間地域における空き家バンク利用者の移住課題として, 移住後の地域住民との関係や, 移住先の地域の情報の不足など, 中山地域への移住を行う上での課題が中山間地域における空き家バンクを利用するうえでの課題であることが明らかになった. また中山間地域への移住・定住を図るために必要とされる要因を明らかにするために, 中山間地域への移住者を対象とし, アンケート調査を実施した. 結果として中山間地域への移住行うためには, 移住先への訪問や移住に対する相談など, 移住の準備行動を実行することが必要とされることが分かった. また中山間地域への移住先に求められる生活条件として, 住居周辺の自然環境, 近所付き合い, 勤務時間・通勤時間などが必要とされることが分かった. 結果より中山間地域における空き家バンクを活用した移住を促進させるためには, 住居に関する情報を発信するだけではなく, 多方面からの移住推進方策によるフォローが必要とされることがわかった.

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