南條公平

CO2利用のためのバイオガス精製技術の開発

姫野修司、小松俊哉

日本の食料自給率の低下が懸念されており、世界規模での食料問題が深刻化している。食料を効率的に生産・栽培すること新たな技術革新の開発が必要性である。下水処理場は汚水を集約し処理を行う過程で、バイオガスや窒素やリンを含んだ再生水が発生するため、植物や藻類の栽培が可能である。したがって、バイオガスからCO2を回収することを考えた。
本研究では、ガス精製技術の中でも膜分離法に注目しバイオガスからCO2を高純度に回収するシステムの開発を目指した。
農業へ利用ことを目的とするため、CO2分離システムは、低コストで簡易なシステムを構築することが望ましい。したがって、分離膜は分離係数50の安価な有機膜に注目した。他の分離システム1)有機膜1段分離プロセス2)有機膜非透過側2段プロセス3)有機膜透過側2段システムの3つを構築し実験を行った。有機膜透過側2段システムは、目的濃度を達成することができた。他の分離システムでは、CO2濃度90%以上に高純度化が出来なかった。透過側2段システムは、CO2のみを分離するシステムであり、CH4を高濃度化する必要がないことから、少ない膜面積でCO2効率的に分離でき目標濃度に到達することができると考えられる。さらに有機膜透過側2段システムの供給流量、圧力による影響を確認し、1段目と2段目にかかる圧力の分配がシステムにとって大きく影響することが明らかになった。膜面積比は試算により検討し、2段目の比率を下げることで、より効率的に分離できることが示唆された。CO2供給システムの運転方法として間欠運転が可能であることが望ましく、膜分離システムの即時応答性について確認した。分離膜単体の場合、即時応答性を確認することができたが、分離システム全体においては、分離が安定するまで3分以上かかる結果が得られ、分離システムを間欠運転させ、効率的な運用をするためには、貯留タンクを設置する必要があると考えられる。
 バイオガスからの回収CO2を供給して藻類の培養実験を行った。長岡浄化センター内で行った実験は、装置の誤動作により、攪拌速度の低下が起こり、バイオガス由来CO2の藻類は対称系のCO2標準ガスと比較し低い値を示した。屋内培養実験の結果は、バイオガス由来CO2を供給した藻類も安定し培養ができているため、バイオガスから藻類を培養することは可能であることが明らかになった。

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