北田誠
溶媒を変更したDDR型ゼオライト膜の合成方法の開発
姫野修司、小松俊哉
天然ガスや下水処理場から発生するバイオガスからのCO2分離技術として、吸収法や吸着法、深冷分離法があげられるが、多大なエネルギーを使用しているため革新的なCO2分離技術が求められている。そこで、近年、耐熱・耐圧性省エネルギーであるゼオライト膜を用いた膜分離法が注目されている。膜分離法は、吸収法や吸着法、深冷分離法などと比べ分離エネルギーが少なく、装置や設備がコンパクトな分離法である。本研究室では、分離膜の中でもCO2とCH4の分離に適するDD3Rゼオライトに着目し、実用化を目指し研究が行われている。これまでの研究で、合成時に溶媒を変更しフッ化カリウムを用いた場合でも、DD3Rゼオライト結晶・膜合成を行うことが可能であることが解明されている。
本研究ではフッ化カリウムを用いたDD3Rゼオライト膜の合成範囲(合成組成)の拡大を行っており、DD3Rゼオライト膜の合成時に使用される構造規定剤、溶媒を少なくすることが可能な組成を発見した。その組成で合成することで、CO2透過速度1.6~2.3×10-7Mol/m2・s・Pa、分離係数408~422とこれまで作成されてきた膜と同程度の製膜が行えることが確認された。また、フッ化カリウムを使用することで他の溶媒との優位性があるか解明するため、他のアルカリ金属のハロゲン化物を使用し結晶合成・膜合成を行い、DD3Rゼオライト結晶化・膜化を行った。結果、結晶化膜化においてSGTゼオライト結晶と混晶となり、DD3R単結晶では合成できなかった。しかし結晶化ではNaOH水溶液を添加することで、DD3R単結晶で合成が可能であることが示唆された。さらに、溶媒を変更しても膜合成が行えることが示唆された。
DD3Rゼオライトの合成にフッ化カリウムを用いて合成を行い、低溶媒・低構造規定剤で合成を行うことが可能となった。この組成を参考にすることで、溶媒を使用しない膜化を行い、膜合成可能な組成を本研究で明らかにした。
またDDR型ゼオライトに分類されるZSM-58ゼオライトについて本研究室で膜化・結晶化が行われており、ZSM-58ゼオライトはAlを含有しないオールシリカZSM-58結晶も本研究室で合成可能となっている。DD3Rゼオライト膜は合成時、支持体に塗布される結晶の純度が大きく影響する。そこで、このオールシリカZSM-58結晶を使用し膜合成を行い、DD3Rゼオライトの膜化を行い、膜化が可能であることが解明された。
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