佐藤 由佳

時系列衛星画像を用いた被災農地の復興復旧把握手法の検討

力丸厚、高橋一義、坂田健太

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震から4年が経ち、農地内の除塩作業は進み、対象農地のおよそ9割となる11660haの農地が平成25年度までに復旧された。しかし、農地の復旧で復興完了ではなく、農地として復旧した後に農作物が作付され、かつ正常に生育しなければ復興したとは言えない。そこで、被災農地について、復旧した農地と農作物が正常に作付される復興農地を判別することが重要と考えた。そこで本研究では、東日本大震災による被災農地の復興・復旧状態を把握する為に、時系列衛星画像情報を用いて農地を抽出し、作付分布の履歴パターンから農地の被災・復興・復旧状態の把握手法を検討する事を目的とした。
本研究では、被災農地の復旧復興の履歴を把握する為、5年分の衛星画像データを取得した。そして、衛星データから対象農作物である水稲と大豆の作付領域を抽出した。水稲作付領域の抽出は、水稲作付判定指標RCIを用いて抽出した。大豆作付領域の抽出は、教師なし分類で抽出した。各年の作付農地画像は、現地調査及びGooglemapでの検証し、水稲で94%、大豆で80%の正当率で合致した。また、行政資料において復旧済みの領域内で、生育ムラが発生している圃場が新規に発見された。作付農地画像を経年で重ね合わせ、復興復旧農地履歴図を作成した。復興復旧履歴図から、各年の農地の面積と復旧の割合を算出した。震災年である2011年に復旧した農地は6.3%、2014年までに復旧した農地は59.2%、2015年までに復旧した農地は89.7%、未だ復旧していない農地が10.3%ある事が確認された。また、対象地である宮城県が公表した営農再開年情報と復興復旧農地履歴図を視覚的に比較した結果、ほぼ一致している事が確認された。本手法を用いる事により行政が公表していない細かな領域の情報や管轄をまたいだ領域の情報も面的に衛星で捉える事が可能となる。

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