齋藤洋志
小型UAV搭載デジタルカメラを用いた水稲群落葉色計測に関する検討
高橋 一義 力丸 厚 坂田 健太
水稲の生育量の一つとして葉色がある。葉色から水稲の窒素栄養状態の確認を行い、施肥を適切に行うことで肥料による水質汚染を防ぎ、高品質米の生産が可能となる。現場の葉色計測では、主に葉色カラースケールと携帯用の葉緑素計が用いられている。葉色カラースケールは群落計測、単葉計測の両方に対応しているが、目視で判断しているため客観性が低い。葉緑素計は客観的に水稲の栄養状態を把握でき、再現性も高いが、単葉計測しか行えない。そのため、広範囲の計測が可能で、再現性が高い方法を求めて、リモートセンシングを用いた方法が研究されている。また、近年ではUAVが様々な用途に使用され始めている。UAVでの水稲群落葉色計測を行うことができれば、より広域の計測が可能となる。しかし、デジタルカメラでの撮影は撮影時の照明条件や設定により、対象物が同一でも画素値が変化してしまう。
本研究では、性質の経時変化がなく、色が均一である規準板を水稲と同時に撮影した。撮影した画像は再生処理を行い、撮影画像中の規準板の画素値と規準板の分光反射率を元に一次式、二次式、直線内挿の3種類の方法で反射率変換をし、前述した要因の影響の低減を試みた。その結果、本研究で用いた方法では、直線内挿を用いた方法が最も適していると判断できた。その後、反射率変換画像中の葉色カラースケールを擬似的に水稲と見立てて、葉色カラースケールの分光反射率との比較、反射率画像中での反射率の変動量から葉色の再現性の検討を行った。二次式と直線内挿で反射率変換を行ったデータを用いて検討し、分光反射率との差は赤バンドで6~7%、緑バンドで6~9%、青バンドで約2%の差が存在していた。また、反射率の標準偏差が3~5%程度であった。反射率の変動が大きい日付を除いた場合、分光反射率との差は赤バンドで5〜7%、緑バンドで5〜8%、青バンドで1%の差があった。反射率の標準偏差は1〜2%程度であった。また、葉色カラースケールの各バンドの反射率をRGB色空間での座標とし、判別分析より得た線形判別式で番号が識別できているかを確認した。その結果、No.3とNo.4は識別できていない日付が存在し、No.4とNo.5は全ての日付において識別できていたという結果が得られた。これは葉色カラースケールの各番号の分光反射率の差が影響していると考えられる。
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