岡田尚也
水際の取り扱い方が津波や氾濫シミュレーションに与える影響について---浅水流方程式の適用に際して---
陸 旻皎,楊 宏選
現在,津波や洪水氾濫の数値ミュレーションにおいて,最も用いられている基礎方程式は,平面二次元浅水流方程式である.氾濫流先端部でもっとも多く採用されている処理は,特別な処理を何もしない方法(先端条件A)である.先端条件A:ドライベッド側水深hi+1をゼロとみなして無理やり数値微分する.先端条件B:越流公式や段落ち公式を用いる方法.(張馳ら,2004).先端条件C:slip条件(川崎ら,2006).Aの方法でuiを計算したのち,ui+1=uiとする方法.先端条件D:移流フェーズと圧力フェーズの二段階に分離して,圧力フェーズを越流公式で対応する方法(楊ら,2016).保存形(h,M)タイプ:ドライベッド側水深hi+1をゼロとみなして無理やり数値微分する.
先端条件Aは,水の不連続箇所や先端位置を検出する必要がなく,極めて便利である.しかし,圧力勾配∂h/∂xはメッシュサイズによって大きく変わる欠点がある. 先端条件Bは,不連続な圧力を無理矢理に数値微分しないので,メッシュサイズに依存する欠点がない.しかし,水深のみで流量(流速)が求められるために,水塊の持っている移流速度が失われ,結果として流速が非常に小さくなる欠点がある.先端条件Cは,不連続個所を強制的に数値微分している先端条件Aの短所を有するが,理論解に一致する.ui+1は,本来水深hi
先端条件A,Bの2条件は,メッシュサイズを小さくすることによって変化は,得られたが理論曲線に近づかなかった.先端条件C,Dの2条件では,メッシュサイズを小さくすることによって極めて理論曲線に近づいた.これは,差分法のあるべき姿である.保存形(h,M)タイプの方法は計算途中で,数値発散が起きた.先端条件Cの方法,先端条件Dの方法の2条件では,比較的に理想流体の一次元ダムブレーク問題で適切と思われる.
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