福重 篤史

新潟東港東側海岸域での離岸流調査

細山田得三,犬飼直之

近年,新潟県の沿岸域は土地利用の高度化に伴って海洋性レクリエーションの場としての需要が増え,多くの人々によって楽しまれている.しかし,毎年海水浴中の海浜事故が後を絶たない.本研究では過去に新潟県内で発生した海浜事故の情報から,新潟県内の海浜事故の発生やそのうちの離岸流の事故発生状況を把握し,離岸流が実際にどのように発生しているのかを把握するために現地調査を行い,実際に発生する離岸流の動態や規模を明確にすることを目的とした.今回,海上保安庁第9管区から事故情報を提供していただいた.それによると,離岸流に起因するものと考えられる事故は全海浜事故件数の四分の一で発生していることがわかった.また新潟県を4つのエリアに分類することで最も事故が多いのが下越地方であることが分かった.また事故が発生している海岸を調べてみると突堤や離岸堤などの海岸構造物が見受けられた.
新潟付近の7月の波浪は波高0.5m以下,波向N~NNWが卓越している.事故は,波高1m以下で発生しており,0.5m以下の時の発生件数は半分である.事故発生時の波向は,NNWが多く,7月全期で卓越する波向時に事故が多い.7月と8月を比較すると,事故発生件数が8月の方が7月の倍多い.これは北陸では梅雨明けが7月下旬と遅く,遊泳客が悪天候のときに少ないからだと考える.また8月の方が7月に比べ波向きが多方向である.これは夏季に日本海側を通過する高気圧が影響しているためであると考える.新潟県内の離岸流発生事故の多くが新潟東港付近で発生していることが分かった.そこで新潟東港近くにある網代浜海水浴場での離岸流の動態を観測し,新潟県各地の離岸流発生状況を把握することを試みた.調査時は海水浴時の波高よりも大きい状態であったが,逆に砕波帯の幅も増大しており,通常より規模が大きい離岸流が発生していたと考えられる.また,波向はNNWであり,海岸を背にして右前方からの波浪が入射しており,左側の突堤から右方向へ200mほど離れた砂浜の凸部付近では,海岸を背にして左前方へ向けて離岸流が発生しているのが目視でも確認できた.また,突堤付近では根元付近から沖に向けて離岸流が発生していた.今回可視化した離岸流の流速が汀線付近で0.9m/s,沖で0.4m/sであることが分かった.今回の調査では地形的な特徴および波浪の状況から離岸流の発生場所をピンポイントで特定をする事ができ,さらに離岸流を可視化して流況を把握する事ができた.これにより発生場所やその規模などを把握する事ができた�

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