落合 時光
UAVを用いた海岸地形データ作成手法の開発
細山得三,犬飼直之
従来,地形データを作成する方法は直接測量した数値等高線地図から作成する方法と人工衛星や航空機によるリモートセンシング技術を用いた作成方法があった.しかし,直接測量の問題点は険しい山など,場所によっては作成困難で,測量データから,数値等高線地図を作成するのに手間がかかる.また,リモートセンシングによる測量の問題点は航空写真を入手するのにコストがかかることや作成したい時間や場所での情報の取得が困難である.これらの問題点を改善するために本研究では,UAVを用いて安易に地形データを作成する手法を考案した.地形データを作成するにあたり,対象海岸は新潟県上越市上下浜海岸の地形データを作成することにした.選定理由は幅が狭く急勾配であり,浜に打ち上げられた波が砂浜を駆け上がり,波浪が減衰せずに直接押し寄せるなどが挙げられる.また,このような特徴から2014年5月4日に上下浜海岸で水難事故が発生した.事故時の気象・海象を理解した上で,2014年8月29日と2015年1月14日に調査を行った.8月29日の調査内容は,海面着色剤による沿岸流観察,数本の岸沖方向の水深の計測,各測線における岸沖方向の海岸地形計測,UAVを用いたビデオ撮影である.また,1月14日の調査内容は各測線における岸沖方向の海岸地形計測,UAVを用いた航空写真撮影である.1月14日に撮影された写真から,地形データを作成するにあたり,撮影した写真のレンズ歪みの補正を行った.今回は30枚程度の写真を補正し,それらをソフトウェアPhotoscanを用いて鳥瞰図を作成し,それをDEMに出力した.また,作成した鳥瞰図はDEMの他にGoogle Earthデータ,Arc Inデータに出力することも出来る.出力したDEMの処理において,海岸工学において数値計算用に地形データは海岸線をX軸として使用されることが多いため,座標をXY座標に変換して,回転を行った.更にGoogle Eathデータを用いたり,2回の調査で作成した岸沖方向縦断図と照らし合わせ,作成したDEMの正確性を把握し,DEMから地形的特徴を考察し,事故当時の波の遡上速度の推算を行った.本研究では,UAVを用いて撮影した写真から海岸地形データ作成し,DEM化を行うことができ,Google Earthデータ化を行うことができ,活用することができた.作成した地形データの正確性を確認し,活用可能であることを確認した.地形データを用いて上下浜の地形的特徴を把握した.
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