NGUYEN LE TRONG NHAN
Superpaveアスファルト混合物の骨材粒度選定法に関する一検討
高橋 修
近年,わが国の都市部の空港,特に国際空港において,航空機の運用回数が増加し,設計期間を待たずに舗装が損傷してしまう事例が多くみられている.特に,誘導路のような荷重条件がかなり厳しいアスファルト表層においては,通常のアスファルト混合物では塑性流動抵抗性が不十分であることが問題視されている.改質アスファルトや厳選した骨材を使用すれば塑性流動抵抗性を向上できるが,経済性等の理由でこれらが難しい場合は,配合面の工夫やアスファルト量の最適化を図って改善していくしかない.わが国における空港用アスファルト混合物は,マーシャル法で配合設計された密粒度アスファルト混合物(20)の中央粒度のみであり,同程度のコストでより耐久性の高いアスファルト混合物を得るためには,合理的な配合設計方法によって適当な骨材粒度を選定する必要がある.このような背景から,本研究では,アスファルト舗装の塑性流動抵抗性を向上させることを目的に,Superpave設計法に着目して実用的な骨材粒度選定法について検討した.
Superpave設計法におけるアスファルト混合物の骨材粒度は,いくつかのふるい寸法に規定されている制御点を避けるように,経験を頼りに設計者の裁量で選定される.わが国でSuperpave設計法の適用を考えると,骨材粒度の選定に自由度が高すぎるため,導入にあたっては設計者の経験をフォローするツールが必要である.そこで,本研究では,Superpave設計法の骨材粒度選定における試行錯誤を軽減し,経験の浅い設計者でも骨材粒度が簡易に選定できるように,骨材粒度を表すパラメータ指標を使ってシステマティックに粒度選定ができる手法について検討した.具体的には,Bailey法および連続的最大密度粒度(CMD)の考え方を導入し,主要骨材パラメータとその推奨値を設定した.
本研究では,産地の異なる2系統の骨材を使用して,Bailey法の主要骨材パラメータであるCALUWに基づいて選定した計32配合に対して,Superpave設計法に沿って設計アスファルト量を決定し,設計特性値や骨材パラメータの傾向を把握した.その結果,CMDの骨材パラメータであるCMD面積と骨材間隙率(VMA)は高い相関があり,VMAを確保するにはCMD面積を調整することが最も有効であることがわかった.また,配合設計結果を踏まえて塑性流動抵抗性試験を実施し,Superpave混合物の塑性流動抵抗性を評価した.その結果,骨材パラメータとわだち掘れ深さの間に明確な相関は確認できなかったが,全体的にCALUWが70〜90の細粒度配合において高い塑性流動抵抗性が得られ,CMD骨材パラメータのクロスポイントが少なく,滑らかなCMD曲線で表される配合は塑性流動抵抗性に優れることが確認できた.
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