名前   五十里屋 亮佑

題目   すりつけ用アスファルト混合物の耐久性向上に関する研究

指導教員 高橋 修

現在,すりつけ用アスファルト混合物は,主に道路の消雪パイプを設置する際の隙間や段差を平坦にするために使用されている.消雪パイプの他にも,アスファルト舗装の表面に段差があると不都合な場合は,最大骨材粒径が5 mm以下の細粒度のアスファルト混合物や粗骨材を使用しないアスファルトモルタルですりつけを施工する.すりつけ用アスファルト混合物は最大骨材粒径が小さく,かつ層厚が薄いため,強度が低い.そのため,問題点は,流動変形を起こしてしまう.また,水分や紫外線の劣化によりアスファルトバインダーが硬くなると,ひび割れが発生しやすくなり,下のアスファルト層や段差の垂直面との付着力も低下して剥離が生じてしまう.そして,ひび割れと剥離が生じれば必然的に剥落・飛散へと損傷が進展する.以上のことから,すりつけの耐久性を向上することを目的に,既往のすりつけ用アスファルト混合物の配合を再検討とした.Bailey法を用いて骨材粒度を見直し,決定した骨材配合で塑性流動抵抗性と剥離抵抗性を評価した.
Bailey法は,アスファルト混合物の骨材の粒子の骨格構造に注目して骨材粒度を評価する手法である.骨材粒子の充填理論をもとに,本研究では骨材パラメーターの一つであるCAに着目して,骨材粒度を選定した.既往の骨材配合も参考にして,CAの推奨値等を考慮しながら合計6案の骨材配合を決定した.これらの骨材配合をもとに,アスファルト量を変化させたアスファルト供試体を作製し,評価試験を行った.
塑性流動抵抗性の評価では,APA(Aspalt Pavement Analyzer)試験を実施した.試験には,SGC(Superpave Gyratory Compactor)で作製した供試体を用いる必要がある.まず,締固めに適したSGCの締固めエネルギーを,マーシャル設計法から求められた実測密度と,SGCで作製したSGC供試体の実測密度が同じになるように決定した.作製した供試体について,塑性流動抵抗性を相互比較した.
剥離抵抗性の評価では,層間付着強度試験を実施した.基層に密粒度アスファルト混合物(20),表層にすりつけ用アスファルト混合物を使用し,層間の付着の程度を評価した.
検討の結果,CA骨材パラメーターの値は0.59程度が適当で,大き過ぎると骨材の充填率は高くなるが,粒子径の大きな骨材が不十分となって強度が不足してしまうことがわかった.CAは塑性流動抵抗性に関連する重要な骨材パラメーターで,最適な値を設定する必要がある.また,剥離抵抗性も評価して,既往のすりつけ用アスファルト混合物よりも耐久性の高い配合を選定し,提案することができた.

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